先日Twitterでも報告した謎のカモであるが、1晩経ってヨシガモのメスなのではないのかと思い始めている。そしてコガモだと思って撮影したカモの中に同種らしきカモがいたので複数個体いるのはおそらく確実。
本日撮影した写真。
— s6m3s3n4? (@s6m3s3n4) 2020年10月2日
2枚目はハシビロガモと
3枚目はコガモと
4枚目はカルガモとの比較。
オカヨシエクリプスかヨシガモメスだと思っている。 https://t.co/SppaB5uc8z pic.twitter.com/yrY1L074yN
今回は何でヨシガモと思ったのかを解説?していきたいと思う。
まず、複数個体いると分かったため、継続して観察できた場合のみを同一個体とみなすことにした。もしかしたらよく似た別種ということもあり得るからである(もちろん同じ個体の可能性も高いのだが)。その場合4〜5個体となった。
個体1
奥の個体もおそらく同種
個体2
個体3
左と右奥はハシビロガモ
手前はコガモ
個体4(もしかしたら個体3と同一)
左はカルガモ
整理すると、個体1はコガモだと思って撮影したもので、個体2はオカヨシガモだと思って撮影したものの違和感を覚え、コガモのエクリプスとしてTwitterに投稿したものである。
コガモエクリプス? pic.twitter.com/ZDUxxmV9sY
— s6m3s3n4? (@s6m3s3n4) 2020年10月1日
個体3と個体4は1と2を見つけた翌日、他のカモと並んだことでコガモではないと気付き撮影したものである(ここで前日の「コガモエクリプス」がコガモではないとわかった)。なお、個体3と個体4は同一個体の可能性があるが、撮影間隔が1時間半ほどあいているので一応別個体として扱った。
また個体1と一緒に写っている奥の個体も同じ種と思われるが、これ以外の写真が無く比較できないため除外した。
ようやく本題である。いったいこのカモは何なのか。
嘴が黒一色であることと、個体2の顔の印象からオカヨシガモのエクリプスではないかと思ったが、インターネットで調べても出てくる画像はほぼ繁殖羽になったものか、嘴の色も含めメスと区別がつかないものだけ(オカヨシのメスは嘴が黄色と黒でマガモに似る)。同じような色のものは出てこなかった。
また、オカヨシガモとは嘴の色以外にも違いがあることがわかった。
オカヨシガモのメスとエクリプスの写真は持ってないので繁殖羽のオスの写真を使って説明。
上の写真と同じ場所で撮影(2月)
カモ類の次列風切には種によっては光沢があり、「翼鏡」と呼ばれ種の識別にも使われる。オカヨシガモの場合、雌雄ともに翼鏡は真っ白なのである。
丸で囲んだ部分が翼鏡
雌雄で同じということはエクリプスでも同じである可能性が高い。今回撮影した種不明のカモは全て翼鏡が黒いのでオカヨシとは異なる。
オカヨシでないとしたら?
自分はこういう場合、以前も来ていた種(普通種)を疑うようにしている。珍種を自力で見つけるなんてほぼ不可能だし、特に大きな環境の変化がなければ同じ種がやってくるのが自然だからである(もちろん突然現れ突然消えることもあるんだけど)。
とりあえず去年の終わりから今年の初めにかけて自分がこの場所で撮った写真を見返すと、そっくりなカモがあっさり見つかった。それがヨシガモである。
ヨシガモのメス(手前の見切れてるのはオス)
黒一色の嘴と黒い翼鏡、今回のカモと一致する。体の大きさも約48cmとコガモ(約38cm)より大きいがカルガモ(約61cm)より小さく、やはり一致する。
このことから今回のカモはヨシガモではないかと思ったのである。
しかし個体2の顔つきがどうもオカヨシっぽく見えてしまうのである。だからオカヨシの可能性を捨てきれず「オカヨシエクリプスかも」とツイートしたわけだが、今になって個体2の頭部の羽毛が濡れていることに気がついたのである。個体2以外は乾いており、羽毛が空気を含んで違う顔つきに見えたというわけである。
※2020. 10. 22 追記
後日個体2と同一個体の可能性があるカモをヨシガモの雌雄と同時に目撃し、やはり違和感を覚えたので個体2に関しては保留ということにしました。
※2020. 11. 12 追記
オカヨシガモのエクリプスから繁殖羽に換羽中の個体を観察したところ、個体2とはかなり違っていたのでやはり全てヨシガモでのようである。しかしエクリプスとメスはよく似ているのでメスだと断定はできない。
よって結論は「全てヨシガモのメス」である。オカヨシのエクリプスから繁殖羽への変化の過程がわからないためかなり強引ではあるが、ヨシガモのメスというほぼぴったりのものがあるのでそちらの可能性が高い。
今の時期はエクリプスがいるので「この種のメスとは模様が違うから違う種だな」と考えるのは危険だ。しかし今回はエクリプスの可能性を考えすぎてメスである可能性を考えていなかったことが誤同定につながった。1つのことにとらわれず、幅広く考えていかなければならないことを痛感した。