オイカワの産卵を撮影しに行ってきました。
オイカワ(Zacco platypus または Opsariichthys platypus)は日本では最も一般的な淡水魚のひとつで、オスの婚姻色は日本産淡水魚の中でも屈指の美しさを誇る。雑食で何でも食べ、汚染に強く、浅い砂の中に産卵するという性質から都市化に強く、都市部の河川でもその姿を見ることができる。成魚は15cmほどになるらしいが、このとき見られたのは大きいものでも10cm少々といったところ。全体的に小ぶり。
本来は西日本にしかいなかったが、放流によって東日本にも定着したとされている(関東地方には元からいたという説も)。また、元からオイカワがいた地域にも違う産地のオイカワが放流され交雑が進んでいるなど意外と穏やかでない状況にある。
ちなみにオイカワの学名はZacco platypusであった。属名の「Zacco」は日本語の「雑魚」に由来する。その後分類が変わりOpsariichthys platypusに学名が変わったとされているが、Zacco platypusに戻そうという動きがあるらしい。何でもオイカワがOpsariichthys属であるという根拠は特になかったんだとか。じゃあなんで学名変わったんだよ....
以下は撮影した動画。風が強かったうえ、近くで工事が行われていたので結構うるさいです。ご注意ください。ちなみに僕のお気に入りは1本目の動画と3本目の3:23からの産卵シーンです。
以下気になった点
・産卵までの流れ
メスは産卵に適した場所を見つけるとそこで待機し、オスは体を震わせてメスに近づき体と尻鰭でメスを川床に押さえつけるようにして産卵する。メスが待機している様子は1本目の動画や3本目の0:27などで確認できる。
・卵の捕食
3本目の動画の1:11や2:21で他の個体が産んだ卵を食べている様子がはっきりと確認できる。この他の場面でもペアが産卵を終えた後他の個体が一斉に群がっており、このときも卵を食べていたと考えられる。
・産卵中のペアへの割り込み
2本目の2:16と3:08、3本目の2:11と4:17で、産卵中のペアに割り込む個体が確認できる。また、割り込まれたことで産卵が中断される様子も見られた(2本目の1:48や4:13)。サケの仲間では産卵中のペアに他のオスが割り込んでくることが知られているが、動画のオイカワの場合、割り込んできた個体は体が小さく色も地味で一見メスのように見える。しかしオイカワの婚姻色は劣位の個体だとほとんどでないというし、劣位の個体ならこういう行動をとる理由も理解できるので、割り込んでくる個体がオスである可能性は充分にある。まあメスだったとしてもそこまでおかしくはないんだけども。
このように身近な生き物でも少し観察するだけで新しい発見があるし、次々と疑問が出てくる。生き物の観察というのはとても楽しいものなのである。
余談だがこのときは日陰もない川辺に1時間以上座り込んで撮影していたのだが、あいにくこの日は見事な晴天で日焼けに苦しめられた。お風呂に入るとしみる。これからはきちんとUV対策をして望もうと決めたのだった。
アオサギ先輩。きっと同じものを狙っていたと思う。この川は人通りが多かったからかいつの間にかいなくなってた。オイカワは婚姻色が目立つのでオスが狙われやすいという。今回それを確かめられるのではないかと思ったがそう甘くなかった。
※2021. 6. 22 追記
6月15日に再び(ちゃんと日焼け止めを塗って)行ってきました。
アブラハヤの幼魚がオイカワの卵を食べていた。オイカワも他の個体の卵を食べているが、オイカワとは違い砂の中に頭を突っ込んでいた。
オイカワの優位のオスと劣位のオスの争い。ただしこの動画に映っている劣位オスは劣位とはいってもNo.2かNo.3くらいだろう(居座ってる場所からの推測)。それでも鮮やかさや追い星の発達ぶりが全然違うが。
初めて字幕を付けてみました。稚拙な編集ですがご容赦ください。
上述したようにメス(のように見える個体)が産卵に割り込んでくることもある。
やっぱりいるアオサギ先輩。同じ個体なのか?そしてやっぱり狩りは見れず。
コオニヤンマ
時折耳元でバサッと音がして振り返っても何もいないということが何度かあったが、どうやらコイツの仕業のようだ。自分の目の前に止まることも何度かあり、写真は僕のズボンに止まったところ。粉ふいてるけど何かあったのだろうか?水浴びも見ることができたが昆虫とは思えぬ迫力で、まるでツバメの水浴びを見てるようだった。
追記
2022年も行ってきました→オイカワの産卵2022 - コミュ障カラスの生き物ブログ