コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

春のオイカワ川

3月末、オイカワの産卵を撮影した川に行ってきました。特に見たいものがあるわけではないが、ちょっと暇だったので。

(オイカワの産卵についてはコチラ→2021年2022年2023年

カワニナ

この川にはカワニナが多い。水中を覗き込むとあまりの数に驚く。

 

ニンギョウトビケラ属の一種

石の上にさらに石が貼り付いているが、これはニンギョウトビケラの巣。この時期は空っぽのものも多いが、外見では中身が入ってるかわからん。

時折大量に巣が付いた石を見ることがある。何か条件が良いのだろう。

 

イカ

夏にはオイカワやカワムツがたくさんいるが、冬にはいなくなる。この日は小さめのオイカワが群れをなしていた。産卵はもう少し先。

 

カワリヌマエビ属の一種

目を凝らすと泳いでいたり、水底を歩き回っているのがわかる。

 

キタテハ

菜の花(アブラナ or カラシナ)で吸蜜するキタテハ。チョウはまだキタテハが一番多い。

 

チャバネアオカメムシ

筆者に向かって飛んできた。越冬期は茶色いが、今は多少茶色っぽいがほぼ緑色。

 

ビロードツリアブ(ビロウドツリアブ)

ここにもビロードツリアブ。春にしか姿を見せないがその間はどこでも見られる。

交尾。左右の複眼が接しているのがオスで、離れているのがメスだとか。つまり上がオスで下がメス。今までずっと大きいほうがメスだと思ってた。

 

シラヒゲハエトリ

コンクリート塀にはシラヒゲハエトリの姿が。あまり意識したことなかったが、成体越冬なのね。

 

タチツボスミレ

春の風物詩。紫色の綺麗な花を咲かせる。そろそろだとは思っていたが、狙い通り。

 

少し歩くと湧水を発見した。こんなところに湧水なんてあったっけ?と思ったが、この日は大雨が降った翌日。地面にしみ込んだ大量の雨水がここから湧き出しているのだろう。

 

この日はこれで終了。春本番までもうすぐ。

某河川 2024年3月

今年の鳥初め以来の某河川。鳥納めで久しぶりに訪れて、やっぱり良いなと思ってまた訪れてしまった。見たい鳥は見れてないままだし。

モズ

11時ごろ到着。あちこちで工事が行なわれており、あんまり鳥がいない。最初に見つけた鳥はモズ。この川ではお馴染み。夏はいないけど。

 

カワセミ

早くもカワセミ発見。よく鳴いていて居場所がすぐわかる。求愛か縄張り争いかわからないが賑やか。

 

タヒバリ

川の周囲の田んぼにはタヒバリの群れ。これぞ田雲雀。セキレイだけど。水を抜いた後の田んぼには色々な鳥が来る。

 

ツグミ

田んぼにはツグミも見られる。ちょっと歩いては立ち止まることを繰り返すのが特徴。それと、ツグミはしばしば写真のように翼を下げた姿勢をとるが、これはなぜなのか。

 

キセキレイ

本日2種目のセキレイキセキレイ。セグロやハクセキよりも数が少ないので、それらより先に見られるとは思わなかった。

 

モズ

またしてもモズ。最初に見たのと同じ個体だろうか?最初にモズを見た地点からおよそ200m離れており、同一個体でも別個体でもおかしくない微妙な距離。

 

アカミミガメ

外来種だけど、もはや水辺の生き物の代表格。この川でも普通に見られる。他のカメは見たことない。

 

ヒバリ

さえずりが近くから聞こえてきたので一生懸命探すと、ちょうどさえずりを終え、地面に降りるところを発見。特徴的なさえずりなので存在はわかるが、地上のヒバリは褐色の斑が地面に紛れ非常に見つけにくい。尤も、小さな体で空高く舞い上がるため、空中にいても見つけにくいのだが。

 

モズ

またまたモズ。先ほど見た地点から500m以上離れてるし、今度は別個体だろう。高鳴きのような声で鳴いていたが、さえずりなのだろうか?それにしても3回連続オスとはすごい。

 

メジロ

ヨシの中で明らかにアオジホオジロではない鳥が動き回っており、「ウグイスだ!」と思って双眼鏡を覗いたらメジロ。まさかウグイスと間違えるとは.... メジロがヨシに入るなんて知らなかったからと言い訳をしたいが、ちょっと検索するとヨシをつつくメジロの話が山ほど出てきたので、単なる筆者の勉強不足からの先入観である。

ウグイスとメジロといえば「ウグイスは鶯色(うぐいすいろ)ではなく、昔の人がメジロとウグイスを間違えたため、メジロの色を鶯色と言うようになった」というトリビアを聞いたことがある人はいるだろうか?筆者は子どもの頃にこれを大真面目に信じてしまい、家族や友達に教えたりしてしまったのだが、これはガセネタである。実際のウグイスはちゃんと鶯色であり、真相は現代人が鶯色と聞いて想像するような鮮やかな緑色は鶯色ではない(この誤解の生まれは不明)が、実際のウグイスがそのような緑色をしていないことを知った現代人達は、間違っているのは自分達だとは思わず、昔の人が緑色をしたメジロをウグイスと間違えたのだと責任転嫁したということだそう。

 

ホトケノザ

道端に紫の絨毯を敷いたのかと思うほど、大量のホトケノザが咲いている。春の七草にも数えられる有名な植物.... ではない。春の七草の「ほとけのざ」は全く別の植物(コオニタビラコ)である。

 

ヒメオドリコソウ

近くにはヒメオドリコソウも咲いていた。筆者は最近まで、何故かこちらを春の七草の「ほとけのざ」だと思っていた。ちなみにヨーロッパ原産の外来種である。

 

カルガモ

チラホラ見られるカルガモの群れ。交尾も見られた。カルガモも一応、羽色で雌雄を見分けられるらしいが、筆者には全くわからない。

 

カワセミ

またしてもカワセミ。先ほどから鳴き声をよく聞くし、水面スレスレを飛んでいくところも何度か見ているが、見つけるとつい撮ってしまう。

 

ハクセキレイ

街中でも水辺でも普通に見られるセキレイ。当然この川にもいる。あちこちで賑やかなさえずりを響かせている。

 

セグロセキレイ

こちらもあちこちでさえずっている。セグロはハクセキほど街中にはいない。筆者の主観だが、この川ではハクセキよりもセグロのほうが優勢に見える。

 

カワセミ

またまたカワセミ。もう何度目かわからない。本当にこの川にはカワセミが多い。

 

カワウ

羽を乾かすカワウ幼鳥。ウを見つけるたびにカワウかウミウか確かめるが、全てカワウだった。今季はウミウが多いと聞いてたが、結局筆者はウミウを見なかった。

 

ダイサギ

嘴先端がわずかに黒く、脛が赤味を帯び、背中にレース状の羽がわずかに生えていることから、夏羽(婚姻色)に移行中の個体と思われる。なんとなく亜種ダイサギっぽいと思ったが、本当になんとなくで根拠はない。

離れたところにもう1羽。こちらは脚が黒い。体も小さかったし亜種チュウダイサギの冬羽で間違いないだろう。

 

サクラの一種

ウメかと思いきやサクラ。周りのサクラは全く咲いていないのに、何故かこの木だけ満開。品種が違うのだろうか?

 

トビ

この日唯一の猛禽。風に煽られ少し飛びづらそうだった。トビはこの川では珍しくないが、だからといって頻繁に見られるわけではない。

 

モズ

本日4度目のモズ。しかも4回連続でオス。ここまで来ると偶然とは思えない。時期からして、抱卵期に入ったと考えるのが妥当だろう。モズはメスが抱卵を行うそうなので、それならオスばかり見つかるのも納得である。

 

カワセミ

そしてカワセミ。もう10回以上は見てるだろう。モズとは違い、こっちはよく鳴くこと以外は、特に繁殖の兆しっぽい行動は見られなかった。

 

ツグミ

多いわけではないが、ちょくちょく見つかるツグミ。田畑を歩き回って採餌中。足元にはすごい数のツクシ(スギナ)。

 

コサギ

この日は2〜3羽が見られた。少なく感じたが、よく考えると年末年始とそう変わらない個体数だった。

 

コガモ

カルガモ以外のカモはもういないと思ったが、コガモのペアがまだ残っていた。ヨシの陰でひっそりと休息中。

 

キタテハ

昆虫も活動を始めている。とはいえ種数はまだ少なく、蝶の場合はキタテハとモンシロチョウの2種のみだった。

 

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチやハナアブの仲間が菜の花(カラシナ?)から吸蜜していた。こちらもまだ種数は少ない。

 

ナガメ

ナガメが菜の花(カラシナ?)の葉に産卵中。最近知ったのだが、菜の花に付くカメムシだからナガメ(菜亀)なんだとか。

 

シジュウカラ

メジロ

ヨシの中でパチパチ音がするので見るとシジュウカラメジロ。スズメ、ホオジロアオジのどれかだろうと思ってたら、3種のどれでもなかった。

 

ダイサギ

この日最後の鳥は本日3羽目のダイサギ。亜種ダイサギかな?こちらは完全に冬羽。それにしても1日かけて3羽とは、年末年始に見られた集団が嘘のように少ない。アオサギに至っては0である。工事の影響だろうか?

この日はこれで終了。結局見たい鳥は見られなかった。次回に期待するしかない。前述の通り今回はアオサギが見られなかったわけだが、実はイソシギも0である。当たり前に見られるはずの鳥が見られないという状況は、なんとも不安にさせられる。

2024年3月 近所の公園 後編

前編はコチラ

鳥は一通り見たので次は虫。日当たりの良い場所には花が咲き、虫が集まる。でも思ったより少ない。やっぱり寒さか?

ベニシジミ

筆者はベニシジミには春のチョウというイメージを持っているが、実際は春から秋まで幅広く見られる。夏~秋には他のチョウも出てくるから目立たなくなるのよね。

翅の表。ベニシジミは春型の方が美しいと聞いたことあるが、その理由は前翅のオレンジ色の面積が大きく、鮮明に見えるからとのこと。筆者は夏型のベニシジミをじっくり見たことがないのでよくわからない。今年は夏型ベニシジミを撮ることを目標にしようかな。

羽化不全の個体。なんであの個体は全然飛ばないんだろう?と思っていたが、近づいてみて納得。なお、こんな翅だが飛んだ。さすがに短時間しか飛べなかったが。

 

モンシロチョウ

この日見られたチョウは大半がベニシジミだったが、たまにモンシロチョウ、ヤマトシジミルリタテハが見られた。もう少し経てばもっと増えるかな?

 

ヒラタアブの一種

ヒラタアブの一種

アシブトハナアブ

春を彩るハナアブたち。こちらもまだちょっと少ない。4月に期待。

 

ビロードツリアブ(ビロウドツリアブ)

春のアブといえばやっぱりビロードツリアブ。ムクムクした小さな毛玉のようなフォルムはとっても愛らしい。

オオイヌノフグリから吸蜜。タンポポなど大きな花から吸蜜する際は普通に花に止まる(上の写真参照)が、オオイヌノフグリなど、自身の体重を支え切れないほど小さな花から吸蜜するときは、止まってはいるが翅をはばたかせ続けてバランスをとっている。ホバリングでも良さそうに思えるが、それでは吸蜜できないのだろうか?

 

セイヨウミツバチ

ハナアブが多いがハナバチ類も2~3種見つかった。筆者が同定できたのはセイヨウミツバチだけだったが。

 

キリウジガガンボ

ここではお馴染みのガガンボ。ヒラヒラ舞っては草に止まり、しばらくするとまた舞い上がる。

 

コモリグモの一種?

地面を徘徊する小さなクモ。ハシリグモやコモリグモだと思う。動きが素早いので撮影はたいへん。

 

ヒシバッタの一種

地面でぴょんぴょん飛び跳ねているのはヒシバッタ。こちらに気づくとすぐに跳んでしまうので撮影は難しいが、「頭隠して尻隠さず」の状態になった個体を発見。やはりこちらが見えていないようで、簡単に撮ることができた。

 

ナナホシテントウ

地面を歩き回るナナホシテントウ。赤い体はよく目立つ。筆者は何故かテントウムシを撮影したことはほとんどない。

 

ソラマメヒゲナガアブラムシ

まだ規模は小さいが、カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)には早くもアブラムシのコロニーが。

 

未同定

カラスノエンドウの花に付くイモムシ。シジミチョウ科の幼虫かと思ったがよくわからない。少なくとも鱗翅目の幼虫だとは思うのだが.... *1

 

カワゲラの一種

池に浮かんだ葉の上にカワゲラが舞い降りた。カワゲラの仲間はよく見るが、種類が全くわからないこともありスルーしがち。

 

クロヤマアリの一種

活動を始めたクロヤマアリ。せっせと土を運び出している。

 

ヒガシニホントカゲ

帰り道、公園入口の石垣からヒガシニホントカゲが出てきた。体には土がこびりついており、ちょっとくすんだ色に見える。夏場のトカゲには土が付いている印象はなかったのだが、どうやって土を落とすのだろうか?もしかしたら冬眠明けに脱皮をするのかも。

 

トビモンオオエダシャク

トカゲのすぐ近くには大きなガが。帰宅後に調べてトビモンオオエダシャクの可能性が高いと判断した。よく見ると右後翅がシワになっている。軽い羽化不全だろう。

 

生き物たちも春のメンツとなってきている。今年も蛙合戦を見逃したのは残念だが、カケスやヒレンジャクやツミやトビモンオオエダシャクを見れたから、トータルではプラスの気分。そして相変わらずジョウビタキがいない。ここ2シーズン連続である。タイミングもあるだろうし、たまたま筆者が見ていないだけなのかもしれないが、別の場所では普通に見るのが余計に不思議。何もなければ良いのだが....

*1:※2024. 4. 7 追記

アルファルファタコゾウムシ、あるいはオオタコゾウムシの幼虫のようです。鱗翅目ですらありませんでした。

2024年3月 近所の公園 前編

近所の公園に行ってきました。

今年に入ってからは1月と2月に1回ずつ行ったのみで、今回で3回目。ずいぶん久しぶりに感じる。

カケス(1月)

1月には鳥初めの直後にルリビ狙いで訪れたが、姿は見れたものの写真は撮れず。でもカケスが撮れたからヨシ。

 

ヒキガエルの卵塊(2月)

2月の終わりに暖かい日が続いたとき、蛙合戦が始まっているのではないかと思い行ってきたが、時すでに遅し。

 

そして3月。寒さがぶり返したが生き物たちはどうなっているのだろうかと見に行った。ヒキガエルの卵は順調に発生が進んでいるようだった(写真は撮り忘れた)。

まずはルリビを狙いにポイントへ向かったが、バズーカを構えた集団がおり近寄り難かった(なんか草ちぎって投げてる人もいたし....)が、どうやらミソが出ていたようだ。筆者もしばしば鳴き声を聞くが、まだこの公園では姿を見るには至ってない。

アオジ

ルリビポイントに到着早々アオジを発見。人に慣れてしまったのか、こちらからわずか2mほどの距離で採餌していた。

 

ルリビタキはわりとあちこちで見られるので他のポイントを見て回っていたのだが、その時「チリリ...チリリ...」「ヒ〜...」という聞き覚えのある鳴き声。まさかこの公園にも来たのか?

鳴き声のする方を見ると4〜5羽の小鳥が梢に止まるところだった。遠い上に枝が被って見づらいが、尾羽の先に赤いマーク。これは間違いない。

ヒレンジャク

最後にヒレンジャクを見たのは2021年だから、実に3年ぶりの出会いである。今季は当たり年なのかは知らないが、ここで見られるとは思わなかった。ちなみに黄色い子はいなかった。

3年前は駅前、今回は近所の公園と、予想もしない場所でばかり見る気がする。こういう予期せぬ出会いが鳥見の醍醐味だと思う。

 

アオゲラ

コツコツと木をつつく音と、よく響く声が聞こえたので探してみると、案の定アオゲラ。鳴き声からしてもう1羽いるようだったが見つけられず。ここで見るキツツキはほとんどコゲラアオゲラ。意外にもアカゲラはあまり見ない。

 

ハシブトガラス

巣材を集めている様子。もうそんな時期か。カラスは巣立つまでのスピードは速いが、巣立ってから独り立ちまでが長い。初夏から親子連れは見られるが、長いと真冬まで親子連れだったりする。

 

一通り回った結果、コジュケイやカケスは見れたがルリビは見つけられず。諦めて池を探索することに。こちらにもバズーカの集団はいるが、狙いは考えるまでもない。

カワセミ

やはりカワセミ。池に来たときからずっとカワセミの声が聞こえていたので、見つける前からいるのがわかってしまう。春のカワセミは賑やか。

 

キンクロハジロ

餌をくれると思っているのか近寄ってくるカモその1。もうそろそろ北へ帰る頃だろうが、まだ30羽以上いた。

 

カルガモ

餌をくれると思っているのか近寄ってくるカモその2。この日に見たカルガモは全て2羽ずつで行動していた。もうペアが形成されているのだろう。

 

マガモ

餌をくれると思っているのか近寄ってくるカモその3。カモ類はしばしば複数種で群れをつくるが、よく見ると種ごとに固まっている。

 

アカミミガメ

黒化の程度が様々で面白い。この公園でカメを見かけたら、筆者はついついミシシッピチズガメやハナガメを探してしまうが、あのとき以来一度も見ていない。

 

カイツブリ

カメを撮影しているとカイツブリが現れた。ここで見るのは2023年鳥初め以来だったかな?今回は2羽。写真上の個体はまだ冬羽だが、写真下の個体は夏羽に近い色になっている。

ツーショットが撮れないかと機会をうかがい、ようやく撮影。キンクロが通過したのは偶々。なお「羽色や嘴の色が淡いのは、成鳥冬羽ではなく第1回冬羽である」とする人もいるようだが、個体差もあるし、個人的には成鳥冬羽と第1回冬羽の見分けはつかないのではないかと思っている。

 

ガビチョウ

池の近くの藪にはガビチョウ。藪の中でガサガサ音がするときは、まずはガビチョウの可能性を考えた方が良い。ウグイスはさえずりが時折聞こえるが、ガビチョウはまだ聞こえない。

長くなったので後編へ続く。

姫路市立水族館 その3

その1はコチラ

その2はコチラ

アカウミガメ

1階外にはウミガメ水槽。アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種が飼育されている。これはアカウミガメ。ゴツゴツしたハート型の甲羅と大きな頭、赤味がかった体色が特徴。分布は非常に広く、極寒の海域を除くほぼ全世界の海に生息している。日本での産卵は屋久島が多く、北太平洋としては最大の産卵地となっているが、太平洋側では宮城県日本海側では能登半島まで産卵が確認されている(頻度などを考慮すると北限は千葉県になるらしい)。日本で産まれた個体も北米まで回遊することが知られている。

アオウミガメ

こっちはアオウミガメ。アカウミより凹凸が少なくのっぺりした印象。前額板(目の間の鱗)が2枚なのが特徴。名前の由来は脂肪が緑色だからとされる。日本最大の産卵地は小笠原。分布は広いが主に沿岸域に生息し、産卵以外にも甲羅干しのため上陸することがあるとか。絶滅危惧種ではあるが、琉球列島などでは個体数が増加した結果、ウミショウブなどの海草に甚大な被害を与えている。

タイマイ

そしてこれがタイマイ。アオウミに似ているが前額板は4枚(ただし個体差があるようで、「野外観察のための日本産爬虫類図鑑第3版(関慎太郎 2022)」に掲載されているタイマイは前額板が2枚だった)。甲羅の後縁はギザギザで甲板は後ろの甲板に重なる。サンゴの隙間のカイメンを主に食べるため、嘴が細く尖っているのが特徴だそうだが、そこはよくわかんなかったです....

ちなみに以前チラッと言及した祖父母の家の剥製だが、どうやらタイマイっぽい。

水槽の底に齧りつくタイマイ(上の写真と同一個体)。どうやら藻を食べようとしているようだ。ウミガメは雑食性だが、アカウミガメは貝類や甲殻類やクラゲ、アオウミガメは海草、タイマイはカイメンと好みは異なっている。

アオウミガメが他の個体に乗っかっている。交尾か?なんか乗られてるほうタイマイに見えるけど.... この後アオウミガメは振り払われ、さらには噛みつかれそうになっていた。ちなみにウミガメは交雑種がそれなりに確認されている。飼育下だけでなく野外でも時折見つかるらしい。

ボラ

ウミガメ水槽にはボラが入っていたが、案の定、水槽の掃除役だという。カメがメインの水槽に魚がいたら、餌用か掃除役と相場は決まっている。

 

フンボルトペンギン

ウミガメ水槽の隣にはペンギン水槽。鳥インフルエンザ対策か水槽を覆うように網がかけられている。姫路市立水族館は播磨の生き物をメインに展示しているので、ペンギンは少々場違いに思える(ヌートリア外来種だが一応兵庫にもいる)。普通の水族館ではメイン級の生き物だし、ここでもメインとして扱われているので、筆者が捻くれているだけかもしれないが。

 

播磨灘大水槽

この水族館で最も大きな水槽だが、いくつかのエリアに分けられているので、他の水族館の大水槽と比較するとそこまで大きな水槽には見えないかもしれない。それでも充分デカいが。水槽に吊り下げられているのはカキ。播磨灘はカキの養殖が盛んで、その養殖イカダを再現したものらしい。カキが本物なのかは知らない。

アカエイ

日本では最も一般的なエイ。筆者も野外で見たことある。尾に毒棘を持つのは有名だが結構飼育されてるし、タッチプールにいることもあるから、扱いを間違えなければそこまで危険ではないのかも。

ドチザメ

沿岸性の小型のサメ。日本近海で一般的なサメであり、水族館でもよく見られる。アカエイドチザメが、たぶんこの水族館で一番大きい魚。なんの偶然かどっちも胎生の板鰓類。

 

アカミミガメとクサガメ

水族館の奥の方には淡水カメ池。ニホンイシガメ、クサガメ、アカミミガメの3種が飼育されている。冬でも動き回ってるあたり、加温しているのだろう。最も、アカミミガメは真冬の野外でも活動することがあるが。

ニホンイシガメ

ニホンイシガメのみ分けられている。クサガメとの交雑を避けるためだろうか?それと写真中央の大きな個体は、写真左の3匹を含めた数匹の小型個体に追いかけられていたが、これはどういう行動なのだろう?

手柄山中央公園到着時に駐車場から見下ろしたときは、ご覧のようにすごい数のカメが日光浴をしていたが、今の時間(15時半頃)はそうでもない。日が傾いた上に雲が出てきたからね。

ちなみにこの3種のカメの内、在来種はニホンイシガメだけとされるが、実は西日本で見られるクサガメの個体群(ミトコンドリアDNAが韓国の個体とほぼ一致する)は在来の可能性があるとも言われている。鈴木(2012)において比較対象にされている韓国産の個体は実は1個体しか調べておらず、逆に韓国の個体のほうが日本から移入されたのではないかとも。一方で東日本や九州南部で見られる中国系統の個体群は、やはり外来の可能性が高いようだ。

 

ちょうどこのときは企画展「あつまれ にょろにょろたち」を開催していた。このパネルだけで何が展示されているのかだいたいわかってしまうが、せっかくなので行ってみることに。「にょろにょろ」って結構抽象的な表現だが、この展示では細長くてくねくね動く生き物を集めたとのこと。

 

ハリガネムシ

みんな大好き(?)ハリガネムシ。筆者のハリガネムシの動画も再生回数が万を超えている(→)。昆虫少年or少女であれば見たことある人も多いだろう。ただ、筆者が寄生された例を見たのはハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリのみである。オオカマキリにも寄生するのは間違いないんだが、なぜか筆者の周りでは見ないんだよなぁ.... そしてこのカマキリの標本、めっちゃ色綺麗だな。それにハラビロは褐色型だし。

 

メキシコサラマンダー(アホロートル

ご存知ウーパールーパー。「ウーパールーパー」というのは登録商標、つまり商品名のようなもので、彼らの正式な名前ではない。ここまで広がっているので言ったところで今更感はあるが。メキシコサラマンダーという名前はそのものズバリ過ぎるが、アホロートル(Axolotlのスペイン語読み)という呼び名はアステカの神ショロトル(Xolotl)にちなむもので、伝説において生贄になることを拒んだショロトルは花や両生類に姿を変え逃走したが、そのうち水中に逃げ込んだものがアショロトル(Axolotl)。つまりアホロートルは神の名を冠する生き物なのだ(伝説のほうが生き物になぞらえて作られたんだろってツッコミは無しでお願いします)。

ちなみに野生のメキシコサラマンダーは絶滅寸前であり、ソチミルコ湖周辺の運河に50~1000匹程度が残るのみとされる。飼育下繁殖が容易な生き物ではあるが、野外でも簡単に増えるというわけではない。そして生息地が破壊されればそもそも生きていけない。

 

シマヘビ

新館にもいたが、ここにも登場。アオダイショウはいなかった。筆者は何故か、こういうところに展示されるヘビはアオダイショウというイメージを持っていたので、少し意外だった。

 

ヌタウナギ

暗くてわかりづらいだろうけど、八の字に寝そべってる2匹の顔を写してます。深海魚なので眼は退化しているが、光受容体はあるので暗くしているようだ。「ウナギだって~」という声が聞こえるがウナギではない。なんなら狭義の魚類ですらない。

 

シマウミヘビ

ワヌケモンガラドオシ

ホタテウミヘビ

魚のウミヘビたち。ウミヘビには「海に棲む蛇みたいな魚」と「海に棲む蛇」の2つがあるが、後者のほうが圧倒的に有名。違う分類群で同じ名前が付けられてしまうことはしばしばある。ヤマトシジミとかカマツカとかコミミズクとか。

魚のウミヘビと蛇のウミヘビの違い。毒ないウミヘビ(蛇)なんておるの?と思ったが、イイジマウミヘビは魚卵を主食としており毒牙や毒腺が退化しているのだとか。全然知らんかった。

 

ダイナンギンポ

「釣り人の間でギンポと言えばこの魚」らしい。ギンポって名前はよく聞くが、実際に見たことはあんまない。思ったより大きくてビックリ。アナゴにウミヘビ(魚)にギンポと、「ダイナン」とつく魚多いな。

 

ミミズハゼ

河川の砂礫中を動き回るため細長く進化したハゼの仲間。確かに名前の通りミミズっぽく見える。この魚もいつか野外で見てみたい。

 

ハナヒゲウツボ

性転換することでも知られるウツボ。やっぱり綺麗。名前の由来にもなったヒゲがよくわかる。いおワールドかごしま水族館でも見たが、ここまでじっくりとは見られなかったので嬉しい。思ってたよりかなり小さくて細い。そしてウツボの仲間だけあって歯が鋭い。

 

サンゴトラザメ

海底に棲み、サンゴの間を縫うように動き回るという。それを聞いて筆者が思い浮かべたのは、かつてニュースにもなった歩くサメ、エポーレットシャーク。サンゴトラザメは歩くことはできないし、サンゴトラザメはメジロザメ目、エポーレットシャークはテンジクザメ目と分類もかなり違うが、細長い体型はよく似ている。このようなサメが、いつか「歩くサメ」に進化するのだろうか.... と妄想。

 

ニホンウナギ

ここにも登場ニホンウナギ。大きくて丸々としている。やっぱりウナギは良いっすね~。独特な愛嬌があると思う。

しばらく見ていると、1匹が口をカーッと開けた。すると近くの個体も口をカーッと開けて、なんだか険悪なムード。

やっぱり喧嘩に。でもこれっきりで終わった。ウナギにはウナギなりの距離感があるのだろう。

余談だがYouTubeに動画をアップロードしたら、元の動画よりも遥かに濃い色になってて驚いた。色が濃すぎてウナギがよく見えないほどだったので、色々調節してなんとか元動画に近い色にすることができた。今までの動画もなんとなくコントラストが強いような気がしていたが、気のせいではなかったようだ。

 

屋上ビオトープ

本館屋上にはビオトープが設置されている。冬なので草は枯れ、ちょっと寂しい感じに。昆虫など動物は姿を隠すから、特に見るものはないだろうと思っていたが....

こんなパネルが。冬には冬の展示の仕方があると知った。

水の中にはたくさんのカワニナカワニナも冬には隠れてしまうイメージを持っていたから、思ったより活動しててビックリ。

 

標本コーナー

本館3階には標本コーナーが。写真右、オウムガイとアオイガイが並べて置いてあるのは面白い。その下にはイカの甲。

スナメリ

かつては瀬戸内海でも普通に見られたらしい。筆者は鯨類は一度も見たことない。海から離れた場所に住んでいるし、船酔いしやすいから船に乗ろうとも思わないので、出会う機会がまずない。

オオサンショウウオ

2002年までここで飼育されていたらしい。飼育している水族館はそこそこあるので、筆者も何度か見たことある。野外で見てみたい生き物の1つだが、チュウゴクオオサンショウウオや交雑個体が多いらしいから、在来種を野外で見るのは難しいかも。

アメリオオサンショウウオヘルベンダー)とチュウゴクオオサンショウウオ

オオサンショウウオ属の2種はワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに記載されており、国際的な取引は制限されるが、ヘルベンダーは別属であり極稀に流通されることがあると聞いた。今もそうなのだろうか?ヘルベンダー絶滅危惧種(IUCNレッドリストでVUに指定)でCITESの附属書Ⅲに掲載されているのだが....

ところで、チュウゴクオオサンショウウオ及び日本産との交雑個体は特定外来生物に指定される予定だそうだが、流行りなのか「合法的に食えるかも!」とか言ってる層がいてなかなか怖い。見た目で識別できるという論文があるそうだが、パッと見てわかる違いならここまで大変なことになってないだろうし、あげられている写真を見ても、少なくとも筆者(サンショウウオはド素人)には横に並べてじっくり比べればわからなくもない程度の違いである。100歩譲っても一般人が使えるレベルではないだろう。文化財保護法違反者が量産されないことを祈る。指定の目的は輸送や遺棄の防止で駆除がメインではないっぽいし、出来れば今まで通り手を出さないでもらいたい。

あと、チュウゴクオオサンショウウオの一種が飼育下で生き残っていたというニュースが最近出た。生き残っていたことは喜ばしいが、これは外来種が認められたという話ではないことに注意。そもそも見つかったの飼育下だし。

 

本館を見終わった後は新館へ。しかし時刻は17時45分。飼育員さん達が片付けの準備を始めているのでサッと回るだけにした。

カミツキガメワニガメ

前回はカミツキガメ同士、ワニガメ同士で分かれていたが、この日は並んでいたのでツーショットが撮れた。似ているようで結構違う。水槽には餌用なのかオオクチバスの幼魚が。

 

ナマズ

新館1階のナマズ。前回の最後もほとんど同じ写真を撮った気がする。ここがお気に入りのポジションなのだろうか?

 

ニホンウナギ

この水槽のウナギは本当にデカい。にょろにょろ展のウナギもそれなりに太かったが、ここのウナギはその倍くらい太い。一瞬ナマズかと思ってしまうほど太い。

ここで遂に時間切れ。そしてカメラの電池切れ。前回も思ったが、とっても高密度な展示で2〜3時間では全然足りない。1日使い切る気持ちで臨んだほうが良いだろう。筆者がおかしいだけで普通の人はそんなに時間使わないだろうが。なにはともあれ、たいへん満足感が得られる水族館でした。

姫路市立水族館 その2

※写真多過ぎ注意

その1はコチラ

再びやって来ました姫路市立水族館。時刻は14時。閉館まで3時間。前回とそんなに変わらないじゃないかって?仕方ないじゃんこの日しか兵庫に行けなかったんだから。

修理から戻ってきたP900を手に早速水族館へ。ちなみに今回も手柄山中央公園ビンズイを見たが、やっぱり写真は撮れなかった。

前回は新館しか見れなかったので今回は本館から見ようと思う。

(左から)マゴチ、コモンサカタザメ、ヒラメ

まずは播磨の磯や干潟の魚たち。こう見ると本当にヒラメ・カレイの仲間は独特な進化をしたものだと思う。みんな上下に平たくなっているのに、左右を平たくして眼を移動させるとは。異体類と呼ばれるのも納得である。

ヒガンフグ

平たい魚たち以外にもボラ、シマイサキ、ヒガンフグが展示されている。隅のほうでじっとしていたヒガンフグだが、ゆったりと動き出してこっちを見つめてきた。

ヒガンフグを撮っていると突然砂の中からエイが飛び出してきた。なんだこのエイは⁉解説パネルに無かったぞ⁉

ツバクロエイ

姿を現したエイはなんとも独特な形をしている。まるでステルス爆撃機。おかげでツバクロエイだとすぐにわかった。結構おいしいらしいが、出回ることはほとんどないという。簡単に捕れる魚でもないみたいだし(日本で食用にされるのはほとんどアカエイ)。実はIUCNレッドリストでVUに指定されている絶滅危惧種

砂に潜るツバクロエイ。マゴチもコモンサカタザメも砂に潜るが、ヒラメは砂に潜らないようだ。

砂に潜ったツバクロエイ。うっすら輪郭がわかる....かなぁ?ペラペラの魚体は簡単に海底と一体化する。噴水孔が見えるのでいるのはわかるが、その気で探さなければ見つけられないだろう。

 

下から見上げてみようと書いてある水槽。壁にかかっている懐中電灯で照らせということらしい。指示通りに見上げてみると....

カブトガニ

カブトガニの腹面と御対面。この発想は良いのか悪いのか。こう見ると確かに鋏角類だけあってクモやダニに似てる。かつては播磨にもいたが、今はいないらしい。カブトガニ類にはアジアに3種、北アメリカに1種の現存種がいるが、日本に分布するのはTachypleus tridentatus1種のみ。セカオワSaoriさんがカブトガニを飼育していたと話題になった(筆者も驚いた)が、流通しているのは外国産で、T. tridentatusは飼育できないようである

 

ソウシハギ

パリトキシンという猛毒を内臓に持つが、実は沖縄など一部地域では食用にされる。毒があるのは内臓だけで、身に毒は無いから(ただし、同じように内臓にパリトキシンを持つことがあるアオブダイの場合、筋肉を食べて中毒した例もあるとか)。カワハギの刺身は肝と一緒に食べるのが美味いとされるが、ソウシハギでそれやったら死にます。マジで。

 

マアナゴ

みっちりと詰まっている。公式サイトの写真通り。シェルターは3つ置かれているが、ぎゅうぎゅう詰めなのはこれだけで、他2つはスカスカだった。

 

ヌートリア

1階に降りるとヌートリアの展示室が。ヌートリアは南米原産の大型齧歯類。水上でも授乳できるよう乳首が背中寄りにあるらしい。日本には軍服の毛皮の材料&食用として導入されたが、終戦後に放逐・野生化した。西日本に主に定着している。

特定外来生物の飼養許可証。ヌートリア特定外来生物。飼養等は原則禁止だが、学術研究、展示、教育、生業の維持等の目的で行う場合については、主務大臣の許可を得ることで飼養等をすることが可能である。ちゃんと見えるところに貼られている。

 

キメンガニ

ヌートリアの隣には無脊椎動物のエリア。初めて見たキメンガニ。背中にウニなどを背負って身を隠すカニの一種で、後ろの4本の脚は物を背負うために特殊化している。この個体は観察用の透明なプラスチックを背負っている。

何も背負ってない個体がいたが、よく見ると下の個体に抱きかかえられてる。まさか交尾か?仮に産卵したとしても、水槽内で幼生が上手く成長出来るとは思えないが....

 

ムラサキウニ

食べているのはキャベツ。5本の歯が生えた口が見える。ウニはヒトデ同様五放射相称の生き物で、それ故に歯も5本。歯は頑丈で、植物の硬い茎も噛み切ってしまう。

 

シャコ

寿司ネタとして有名であり筆者も好きだが、生きている姿も格好良くて好き。派手な模様を持つトラフシャコやモンハナシャコなどは観賞用としても人気だというが、個人的にはシャコの落ち着いた色合いも、彼らに負けず劣らず美しいと思う。パッと見はエビに似るが、よく見るとそのボディプランは結構違う。類縁関係も意外と遠い。体はとても柔軟で、その場でくるりとUターンすることができる。反対に、エビのように素早く後ろに跳ねることはできない。

シャコ類最大の特徴といえば捕脚であろう。シャコ類の捕脚は種によってカマキリのカマのような形の刺撃型(spearer)と、棍棒状の打撃型(smasher)の大きく2タイプに分かれる。シャコは前者であり魚やゴカイを捕らえて食べるが、打撃を放つことも可能で、アサリなども殻を叩き割って食べてしまう。後者の代表格はモンハナシャコ。

ガラスに接した人工の巣穴。シャコは砂や泥の海底にU字型の穴を掘って生活する。これはそれを再現したもの。こういう工夫は結構好き。水槽の横にライトが備え付けられており、中を照らせるようになっている。

この個体は右の捕脚を失っている。他に隻眼の個体もおり、争いが多いことがうかがえる。この水槽には10匹以上のシャコがおり、なかなか過密状態なように思える。人に見せることと生き物の状態を良く保つことは、時には(というかだいたいは)対立してしまうものであるが、この水槽の個体数はもう少し減らしても良いのではないかと思う。どの個体も10〜15cmほどと大きく、人工の巣穴もあるから、来館者が見つけられないなんてことはなさそうだし。

 

白ナマコ

種としてはマナマコとのこと。マナマコは色彩変異が豊富だが、白いものは珍しいらしい。ちなみに赤いものは別種とする説もある。

 

コブダイ

続いては岩場の魚エリア。1mはありそうな大きなコブダイ。頭と下顎のコブは成長に従い大きくなる。筆者がコブダイと聞いて思い浮かべるのは、今は亡き佐渡の「弁慶」と、そのライバルであった「ゴル」である。1mを超える巨体と大きく発達したコブを持ち、「赤岩」と呼ばれる巨岩の上で20年近くも争い続けていたという。NHKダーウィンが来た!」や映画「OCEANS」でも取り上げられた。それ故、勝手に日本海の魚というイメージを持っていたが、瀬戸内海にも多く生息している。生息範囲は結構広いのだ。

 

ミノカサゴ

派手な見た目故か水族館ではお馴染み。生息範囲が広く手に入りやすいというのもあるのかも。ダイビングでも人気だそうだが、ヒレに毒棘を持つからなのか他の魚とは異なり、人が近づいても逃げない。そのためうっかり刺されてしまうこともあるようだ。あまり出回らないが食用とされることも。

 

イカナゴ

写真がボケていることについてはご容赦ください。動きの速いイカナゴにピントを合わせるのは難しいのだ。タイムリーなことに、つい最近X(旧Twitter)で危機的状況にあると知った。乱獲により東北ではほぼ絶滅状態。伊勢湾でも仔魚が採取されず、絶滅に近い状態にあると考えられる。実は播磨灘でもかなり危機的状況にある。このままではイカナゴも、瀬戸内海沿岸地方の郷土料理であるイカナゴの釘煮も消えてしまう。イカナゴに限った話ではないが、不漁不漁言いながら毎年捕るからね。ウナギ(ニホンウナギ)もそうだが、ずっと食べてきたものを突然食べるなとか、量を減らせと言われたら反発したくなるだろうし、それで生計を立てている人は苦しくなる。筆者のような人間は当事者ではないから好き放題言えるという面もあることは理解しているつもりである。しかし、このまま現状維持ではどう考えてもお先真っ暗なので、なんとか科学的根拠に基づく適切な資源管理をしてほしいものである。イカナゴだけがそうなってるわけではないのだし。

上層〜中層を泳ぎ回っていたが、しばらくすると下のほうに降りてきた。よく見ると口をパクパク動かしている。餌の時間だったようだ。

餌は沈殿タイプのようで砂の上を舞っている。イカナゴの尖った口では水底の餌は食べづらいんじゃないかと思ったが、水流で舞い上がるのでそんなこともないようだ。

砂に潜るイカナゴ。砂に潜っている個体がチラホラ見られるが、休息する際の行動だとか。図鑑やネットでは砂に潜るという行動について夏眠ばかり書かれていたが、単なる休息においても砂に潜るようである。

砂から顔やヒレが突き出ており、かろうじて居場所がわかる。しかし全身が隠れていることも少なくないので、見えてないからといって、そこにいないとは限らない。写真には頭が1つ、ヒレらしきものが3つ写っているが、この状況に気づいた筆者がカメラを構えた瞬間、2~3匹のイカナゴが砂に潜っていった。つまりこの写真に写っている範囲には6~7匹のイカナゴがいることになるのだが、ご覧の通り全くわからない。

砂に潜る瞬間を撮ろうと思ったが、速い・暗い・前触れがないの三重苦でとても無理。これが最良の写真。突然降下してズボッと潜ることもあれば、砂の上でゆったり泳いでからスーッと潜ることもある。この写真は後者の状況。前者は撮れん(断言)。

動画だったら撮れるんじゃ?と思ったが.... 結果はご覧の通り。

長くなったのでその3へ続く。

姫路市立水族館 その1

※写真多過ぎ注意

姫路市立水族館に行ってきました。

姫路市立水族館は、兵庫県姫路市手柄山中央公園内にある水族館である。開館は1966年で、今年で58周年。新館、本館、屋上ビオトープの3つに分かれており、新館には里地の生き物やケヅメリクガメ、本館には里海の生き物やヌートリアなどが展示されている。

 

水族館に行く前に手柄山中央公園を探索。ハシブトガラスヒヨドリシジュウカラ、ウグイス、ハクセキレイなど、市街地の公園でよく見られるメンツ。しかしビンズイが目の前に現れたのは驚いた。写真は撮れなかったが。

遠くに見えるは姫路城。結局行かなかった。ちなみにこの日、なんか奇抜な格好をした人をよく見たが、コスプレイベントをやっていたことが後に発覚した。

太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔

突然線香の香りが漂ってきたので何かと思ったら、そういうことでしたか。広島でも長崎でもなく姫路にあるのがちょっと意外。

塔の周りには全国の死没者と罹災人口が。筆者の故郷の横浜市。横浜でもこんなに多いのか。

死没者が1万を超えていたのはこの4都市。原爆が落とされた広島と長崎は多いんだろうなと思ってはいたが、東京と大阪はなぜ?当時から人口が多かった?と思ったが、どちらも空襲を受けた都市だった。いずれにしろこれほどとは思わなかった。特に広島は桁が1つ違う。

日向市。調べると日向市になったのは1951年だとか。だからどちらも0なのか。

 

ようやく水族館へ。時刻は15時。17時閉館だからちょっと時間ないかもしれないけど、まあ大丈夫っしょ!(フラグ)

まずは新館へ。筆者は最近淡水魚がお好き。

姫路市立水族館の主な取り組み

入ってすぐにこんな看板が。どのような形で社会貢献しているのかを示すことは重要。

 

ヌマムツ

まずは河川下流域水槽。ヌマムツはカワムツに似ているが、胸ビレと腹ビレの前縁が赤く、鱗はより細かい。また、鰓蓋にも追星が現れる。

 

ワタカ

名前は聞いたことあるが見るのは初めて。体型はモツゴみたいだが遥かに大きい。水草や藻類を好んで食べる。本来の分布は琵琶湖・淀川水系で、環境省RLで絶滅危惧ⅠA類(CR)だが、琵琶湖産アユに紛れて各地で放流され、定着している。

 

ニホンウナギナマズ

同じくらいの太さなのが意外。もちろん大きなナマズだとウナギよりずっと太いんだけど、ナマズも細長い魚だし、ウナギも大きな個体だと結構太くなるからね。ナマズは何度か野外で見たけど、ウナギはまだ見たことない。ウナギはいつか野外で見てみたい魚の1つ。

 

鳥のオブジェ

生息環境の再現からか、所々に鳥のオブジェが。コサギのオブジェ、草に埋もれてる。

アユ

隣には河川中流域を再現した水槽。水位が30分ごとに変わるらしい。泳ぐアユを狙ったが、動き回るからどうしてもブレてしまう。シャッタースピード上げれば良いんだけど、あんまり上げると写真が暗くなってしまう。

露出を最大限上げて、暗くなり過ぎない程度にシャッタースピードを上げ、その写真をさらに明るく加工してこんな感じ。それでもちょっと暗いしブレてる。

アユを狙ったんだけど、ピントが合っているのはカワムツ。アユはずっと激しく動き回っているからかピントが合わない。カワムツはそれよりゆったり泳いでいるのでピントは合いやすい。

気づけば水位がこんなに低く。水位が下がると上流へ上がるらしい。水位が下がったんなら下流へ行ったほうが良さそうな気もするが、水位が下がったことではなく流れに反応しているのかも。

ついにジャンプ。ブレブレだが10分以上粘ってこれが最良の写真。展示の都合上、魚たちが乗り越えられるのはここしかないのでもっと近くで見たいのだが、近づくと魚が逃げてしまうのでそれはできない。

失敗ver. ジャンプしても乗り越えられないこともしばしばあった。

ジャンプしたが石の上に乗り上げてしまい、そこで跳ねて水に戻るアユ。連写したが、最初の乗り上げるところは撮れなかった。P900の連写は7枚までだし、筆者の反応速度では間に合わない(この後、P900には先取り撮影の設定があることを知る)。

上流側にはオイカワやムギツク。そして乗り越えたアユ。ちなみに筆者が見た限りでは、段差を乗り越えるのは全てアユ。カワムツやオイカワは降りることはあっても登ることはなかった。

ニホンイシガメ

奥にはニホンイシガメ。イシガメも野外で見てみたい生き物の1つ。筆者が子どもの頃は、まだ身近なカメの1種として図鑑に載っていたが、いつからか希少なカメの代表のような扱いになってしまった。

 

ヤマメ(上)とイワナ(下)

アユたちの水槽の隣には、ヤマメとイワナが展示されている上流部を再現した水槽。どちらも生息地の減少や放流の影響で、野外ではあまり良い状況ではない。サケ・マスもいつか野外で見てみたい。

 

アメリカザリガニ

子どもを抱えるメス。過去、一度だけ、飼育していたアメザリが持ち腹で産卵したことがある。結局孵化まではいけたがその後は上手くいかなかった。もう一度挑戦しようと交配を試みて、なんとか交尾はさせたものの、産んだ卵は無精卵で失敗に終わった。

 

サワガニ

一生を淡水で過ごすカニだが、海流(黒潮)に乗って分布を拡大した可能性が示唆された(論文はコチラ(英語)。プレスリリースはコチラ)。筆者の近所で見るサワガニは青白いタイプで、件の論文に従えば海流分散で屋久島周辺からやって来た可能性が高いということになる。身近な生き物にも、まだまだ謎が隠されているのですな。

 

ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ

日本産ゲンゴロウ最大種。昔はそこまで大きいとは思えなかったが、多少なりとも水生昆虫をかじった今はかなりの巨大種に見える。いつか野外で見たい生き物の1つだが、東京や神奈川では絶滅しているので難易度は高いだろう。関係ないがよく見ると水底にはミズムシ(甲殻類)が。

ゲンゴロウは去年から特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売目的での採集は禁止となった。特定第二に指定されている昆虫には、他にタガメやコバンムシがいる(分類技能検定のために覚えた)。

驚くことに彼らは水族館で繁殖させたものだとか。飼育下繁殖が進むのは喜ばしい。繁殖に必要な条件が分かれば生息地保全に役立つし、万が一の際の系統保存にもなる。

 

ここでトラブル発生。P900を落として動作不良に.... ストラップを肩にかけていたのだが、落ちた荷物を拾おうとしゃがんだ際に滑り落ちてしまった。高さは20cmほどだったが、当たり所が悪かったのか電源がつかなくなってしまった。仕方ないのでここからはスマホで撮影。

 

ニホンヒキガエル

北海道と沖縄を除く日本全国に分布するヒキガエルだが、西日本にいるのは亜種ニホンヒキガエル。筆者が今まで見てきたのは東日本に分布する亜種アズマヒキガエル。鼓膜の大きさが違うらしいのだが、正直よくわかんなかったです....

 

アカハライモリ

カエルと共に日本の水辺の生き物の代表格。地域ごとに遺伝的な違いがあり、それが体の色や模様に表れているらしい。放流はダメ。

 

ニホンヤモリ

イモリがいればヤモリもいる。筆者は昔、イモリとヤモリの違いを聞かれ、見た目があまりにも違うので逆に答えられなかったことがある。印象を言語化しておくのは大事。

 

オヤニラミ

子どもの頃、名前や見た目がいかついので大型魚だと思っていたが、思っていたよりずっと小さくて驚いた思い出。いつか野外で(以下略)。環境省RLで絶滅危惧IB類 (EN)に指定されているが、その一方で各地で放流されている。

 

イチモンジタナゴ

スイゲンゼニタナゴ(カゼトゲタナゴ山陽集団)

ヤリタナゴ

ニッポンバラタナゴ

アブラボテ

まだ繁殖期には早いがうっすらと色づいており、これはこれで美しい。いつか野外で(以下略)。多くの種が絶滅危惧種のタナゴ類。レッドリストに掲載されていないのはカネヒラのみである。イシガイ目の二枚貝に産卵するという習性上、イシガイ目がたくさんいるような環境でないと生きていけない。そしてそんな環境は他のタナゴ類にとっても好適な環境である。観賞・釣り目的、あるいはその希少性ゆえの放流が各地で行われており、絶滅危惧種なのに国内外来種として他のタナゴ類を追いやっているなんてことも....

 

カワヒガイ

こちらも二枚貝に産卵するヒガイ。琵琶湖には固有亜種のビワヒガイ、それ以外の近畿~中国地方および九州にはカワヒガイが分布する。ビワヒガイの放流により遺伝的撹乱が危惧されている。放流はダメ。

 

カワバタモロコ

国内希少野生動植物種に指定されているカワバタモロコ。現時点では魚類で唯一の特定第二指定である。生息が確認されている全ての府県でレッドデータブックに記載されている。今の時期の見た目は地味だが、繁殖期のオスは見事な金色の婚姻色を呈す。図鑑やネットでしか見られない生き物が今、目の前にいるという事実に胸が熱くなる。

 

アユモドキ

こちらも国内希少野生動植物種カワバタモロコとは違い特定第二ではないが、こっちは国指定の天然記念物。環境省RLのほかIUCNのレッドリストにもCRとして掲載されている。アユモドキが絶滅寸前だと知ったときは本当にショックだった。子どものときTVで見て存在を知ったが、独特な見た目とか、雨によって出来た水溜まりに産卵するとか、卵は1日で孵化するとか衝撃的なことばかりで、20年近く経った今でも覚えている。野外で見るのは絶望的なので、水族館でも良いからずっと見たいと思っていた。出会えて感激。

 

カミツキガメ

特定外来生物。展示個体は甲長30cmほどだが、大きなものは40cmを超えるという。筆者はまだ野外で見たことはないが、神奈川県を含め日本各地でしばしば見つかっている。

 

ワニガメ

特定外来生物カミツキガメより一回り大きく、甲長40cmはありそう。カミツキガメほどではないが、こちらも神奈川県含め日本のあちこちで見つかっている。

こちらは幼体。これでも甲長20cmほどで、アカミミガメの成体なみのサイズ。頭のサイズはアカミミガメとは比べ物にならないが。

 

アリゲーターガー

特定外来生物。大きなものは3mを超えるとされるが、展示個体はだいたい1〜1.5mといったところだろうか?凶暴で危険な魚と紹介されることもあるが、実は丸吞みにできるサイズの獲物しか襲わないし、省エネなので食べる量も少なかったりする。とはいえ体が大きいので獲物のサイズも大きくなるし、エナメル質に覆われたガノイン鱗と呼ばれる鱗を持っており、幼魚でも襲われにくい。日本の水生生物では太刀打ちできない。

 

ガラ・ルファ(Garra rufa

「スキンケアフィッシュ」とあったが、筆者が子どもの頃は「ドクターフィッシュ」の名で知られていた。名前変わったのか?

 

もう少し見ていたかったが、この時点で時刻は16:50。冒頭でも書いたが、ここは17時閉館。飼育員さん達が片付けの準備を始めたのでもう出なくてはいけない。

最後に中流域水槽とナマズを撮影。筆者が1つ1つの展示に時間をかけ過ぎているというのもあるが、コンパクトだが密度があり、とても2〜3時間では足りない。1日使い切るつもりで臨んだほうが良いかも。

その2へ続く