コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語

※2021. 9. 9 追記 もうすぐ終わってしまうのでいくつか追加しました。

行ってきました「Dino Science 恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語」。

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自分は一応子供の頃から恐竜好きなのだが、恐竜博にはほとんど行ったことなかった。大学に入って時間に余裕が出来てから色々行くようになった(鳥見や虫捕りやライブも大学に入ってから行くようになった)。「恐竜博2019」に行ったときめちゃくちゃ楽しかったのでこの企画が発表されたとき絶対に行くと決めていた。

 

f:id:komyushokaras:20210729164924j:plainアロサウルス・ジムマドセニ(Allosaurus jimmadseni

最近記載された種らしい。アロサウルスといえば子供の頃は全長12mとか書かれていたけど今では7~9mとずいぶん縮んでしまった。少し残念。サウロファガナクスとかエパンテリアスの行方によっては10m級のアロサウルスが復活するけど。

 

f:id:komyushokaras:20210729172300j:plainトリケラトプス・ホリドゥス(Triceratops horridus)の成長

子供のほうが角が上向きでフリルもトゲトゲしてて厳つい感じがするのは意外。武器にしろディスプレイにしろ大人のほうが厳つくなりそうだが。

 

f:id:komyushokaras:20210729172426j:plainアンズー・ワイリエイ(Anzu wyliei

ヘルクリークにもオヴィラプトロサウルス類(カエナグナトゥス科)がいたということを聞いたときはかなり衝撃だった。名前がカッコよくていっぺんにファンになってしまった。しかも3m超級の大物である。

 

f:id:komyushokaras:20210729172610j:plainトロオドン科(Troodontidae)の歯

ヘルクリークでもトロオドン科が発見されてるとは知らなかった。トロオドンといえばホロタイプは歯しかなかったので疑問名になってしまい、「トロオドンの体」にはラテニヴェナトリクス(Latenivenatrix mcmasterae)という名前がつけられたという話を少し前に聞いた。このヘルクリークのトロオドンはどうなるのだろう。体が見つかると良いんだが。

 

f:id:komyushokaras:20210908200615j:plainティラノサウルスの歯

肉食恐竜の歯には鋸歯(小さなギザギザ)があるとは聞いていたが、思っていたよりはるかに小さい。正直役に立っていたのか疑問である。トロオドンの鋸歯とはエライ違いだ。

 

f:id:komyushokaras:20210729172716j:plain“ナノティラヌス”(Nanotyrannus)の“ブラッディ・メアリ”(Bloody Mary

モンタナ闘争化石の片割れ。こんな愛称がついていたとは。“ジェーン”(JANE)と同じかやや小さいくらいの大きさでありながらその前肢は成体のティラノよりデカいというなかなかぶっ飛んだ標本である。ナノティラヌスに関する議論に決着をつけるのではないかと言われているが果たして。

 

f:id:komyushokaras:20210909162737j:plainf:id:komyushokaras:20210908190644j:plainティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)の“タフツ・ラブ”(Tufts-love)

かなり保存状態が良く歪みも少ないという見事な頭骨(初めて聞いた....)。目の前でキュッと幅が狭くなっているのがわかる。また、鼻先は幅が狭いが口元は先端もかなり太め。ティラノサウルスの特徴的な顔立ちがよくわかる。

 

f:id:komyushokaras:20210908191730j:plainタルボサウルス・バタール(Tarbosaurus bataar

ティラノサウルス属とする研究者もいるほどの近縁種(ただし同属説はあまり支持されていない)。実は「タルボサウルスの成体」として知られる標本のほとんどはまだ亜成体なんだとか。実際の成体はもっとティラノにそっくりらしい。

 

f:id:komyushokaras:20210729173109j:plainテスケロサウルス・ネグレクトゥス(Thescelosaurus neglectus

名前はそこそこ聞くがあんまり印象に残ってない恐竜。解説パネルにも特徴の無さがあらわれている。心臓は黒歴史

 

f:id:komyushokaras:20210729173345j:plainパキケファロサウルス・ワイオミンゲンシス(Pachycephalosaurus wyomingensis

頭突きをしていたかしていないかで議論されている恐竜。ドラコレックスやスティギモロクは個人的に好きだったので名前が無くなってしまうのは残念。

 

f:id:komyushokaras:20210908195038j:plainモノニクス・オレクラヌス(Mononykus olecranus

実はヘルクリークからはアルヴァレズサウルス類が発見されている(個人的にはかなり意外だった)。しかし化石は断片的なので代理としてモノニクスが展示されている。来場者は異口同音に「針金じゃん....」と呟く。いや... まあ、そうなんだけどさ....

 

f:id:komyushokaras:20210729173508j:plainシティパティ・オスモルスカエ(Citipati osmolskae

“ビッグ・ママ”(Big Mama)と呼ばれる有名な抱卵化石。ちなみに性別は不明。2019年の上野でも似たような展示があった。巷でオヴィラプトルとして紹介されるのはだいたいこいつである。

 

f:id:komyushokaras:20210909162943j:plainf:id:komyushokaras:20210729173630j:plainf:id:komyushokaras:20210729173702j:plain傷だらけのゴルゴサウルスの一種(Gorgosaurus sp.)“ルース”(RUTH)

新種の可能性があるというこの個体、ほんとに痛々しい.... 一体どのような最期を迎えたのだろうか。

f:id:komyushokaras:20210909162919j:plainf:id:komyushokaras:20210908202645j:plainルースの顔。ゴルゴサウルスはティラノサウルス科(Tyrannosauridae)のなかでかなり基盤的らしいが、それでも頭骨はまあまあ分厚い。

 

f:id:komyushokaras:20210908200149j:plainティラノサウルスの首の皮膚痕

“ワイレックス”(WYREX)の愛称がついたティラノサウルスの皮膚痕。このイベントのメインはレインの皮膚痕と全身骨格なのだが、他の恐竜の皮膚痕も見逃せない。

 

f:id:komyushokaras:20210908200837j:plainミクロラプトル・ザオイアヌス(Microraptor zhaoianus

4翼の恐竜として有名な恐竜。少し前までミクロラプトル属は3種(M. zhaoianus, M. gui, M. hanqingi)いたが、現在は1種とされている。体のわりに頭や歯が大きく、当時の哺乳類、鳥類、魚類など、手に入るものは何でも食べていたようである。それに対しシックルクローは小さめ。

 

f:id:komyushokaras:20210909163055j:plain展示場の床には木陰が再現されていた。上に物を置いているのではなく影だけを映している。こういったさりげないところでソニーの技術力を見せつけてくる。

 

f:id:komyushokaras:20210729194422j:plainディデルフォドン・ヴォラクス(Didelphodon vorax

BBCのウォーキングwithダイナソー(1999)でかなり出番を与えられていたが、それ以外の作品ではほとんど見たことがない。子供の頃こいつの名前を忘れたとき図鑑で調べようと思ったが、白亜紀後期の哺乳類のページには小型哺乳類しか載っておらず、インターネットを使えるようになるまで正体不明になったのは悪い思い出。もうちょっと有名になっても良いのに。NHKも取り上げなかったな....

 

f:id:komyushokaras:20210729195745j:plainスタンゲロチャンプサの一種(Stangerochampsa sp.)

パッと見アルマジロスクスみたいに見えるが、現生のワニとほとんど同じ姿で描かれていた。やっぱワニの鱗って硬いんだな.... ちなみに巨大ワニとして知られるデイノスクスはティラノやトリケラがいた当時すでに絶滅していた。NHKはがっつりティラノとぶつけてたけどな!

 

f:id:komyushokaras:20210908194525j:plainチャンプソサウルス・ララミエンシス(Champsosaurus laramiensis

ワニのようだけどワニでない、コリストデラ類に属する生物。白亜紀末の大量絶滅を生き延びた猛者。

 

f:id:komyushokaras:20210729203040j:plainケツァルコアトルス・ノルトロピ(Quetzalcoatlus northropi

もしかしたらトリケラやティラノとは共存していなかったかもしれない(していたかもしれないというべきか?)生き物。飛べたか飛べなかったかは今でも議論されている。さすがに70kgは軽すぎると思うけどかなりスレンダー。昔のケツァルコアトルスはもっと頸や脚が短かったけどいつの間にか伸びた。

f:id:komyushokaras:20210729211054j:plain生きていたときは相当な筋肉がついていたと思われる上腕骨と胸骨と烏口骨。確かにごついがこれを見てもまだ、この巨体が空を舞うというのは信じられない。ただ個人的には飛んでほしいと思ってる。

 

f:id:komyushokaras:20210729211537j:plainf:id:komyushokaras:20210729211616j:plainストルティオミムスの一種(Struthiomimus sp.)を追うダコタラプトル・ステイニ(Dakotaraptor steini

個人的には一番テンションが上がったポイント。やっぱりこういう躍動感のある展示が大好き。そして何よりダコタラプトルを見れたことが嬉しい。実は僕はダコタラプトルが大好きなのだ。

f:id:komyushokaras:20210729212624j:plainダコタラプトルの存在を初めて知ったときは大興奮だった。何しろティラノサウルスと同時代にユタラプトル級の大型ドロマエオサウルス類が存在していたのである。恐竜少年なら一度は夢見たであろうティラノサウルスvsユタラプトル、まさかこんな形で実現(?)しようとは。僕はジュラシックパークは見たことない(ああゆうパニック系は苦手なのだ)が、まさにリアル・ジュラシックパークともいうべき展開が繰り広げられていたことだろう(見てないやつが言うな)。

f:id:komyushokaras:20210729213741j:plain頭骨はほとんど見つかっていないそうなのでほとんど推測だろう。それでもかっこよすぎであるが。ティラノのごつい頭骨はそれはそれでかっこいいのだが、個人的にはこういうスマートなほうが好きである。

f:id:komyushokaras:20210729215712j:plainダコタラプトルは尺骨に羽軸瘤が見つかったことでも知られる。彼らは5m近い巨体に小さな翼を備えていたのだ。それもまたかっこいい。

f:id:komyushokaras:20210729214611j:plain脚。パワーに全振りしたようなユタラプトルとは異なり、そのプロポーションはデイノニクスに似ているという。でっかいデイノニクスってまさに映画ジュラシックパークではないか(見てない奴が言うな)。

f:id:komyushokaras:20210729220540j:plainf:id:komyushokaras:20210729220611j:plainシックルクロー。ドロマエオサウルス類最大の魅力である。獲物にとってはまさに死神の振るう大鎌。この爪は一時期、切り裂くのには向かないという説が出たが、実際のところはやはり切り裂く武器だったようである。件の論文はシックルクローの断面の形状についてほとんど考慮していなかったとかで.... この話を聞いたとき、自分も気を付けようと思ったのだった。

 

f:id:komyushokaras:20210730094825j:plainモササウルス種未定(Mosasaurus sp.)

白亜紀後期の海の覇者。昔はウミヘビみたいに描かれていたが、最近は魚竜が絶滅してそのニッチに入り込んだとして、魚竜やクジラみたいにムチムチ体型で描かれるようになった。解説パネルでは「浅瀬に乗り上げたりして陸上動物を襲うことは考えにくい(意訳)」と書かれていた。NHK全否定だな.... ちなみに恐竜博2019とは異なり今回の後援にNHKはいません。

f:id:komyushokaras:20210730100551j:plainf:id:komyushokaras:20210730100613j:plainモササウルスといえば2列目の歯列である。この2列目の歯列はヘビにもあり、ヘビに近いグループであることをうかがわせる。あまり噛まずに丸吞みしていたそうだが顎の力もなかなか強そうである。

 

f:id:komyushokaras:20210730101749j:plainデンヴァーサウルス・シュレッスマニ(Denversaurus schlessmani)の“タンク”(TANK)

アンキロサウルスと並ぶ最後の鎧竜。ノドサウルス科としては最後の種である。最近(というほど最近でもないらしいが)ノドサウルスにも肩トゲがあったと知って結構衝撃を受けた。アンキロサウルスとは異なり、この人たちは前半身を武装していたらしい。でもデンヴァーサウルスはサウロペルタなどと比べるとちょっとおとなしめな見た目である。

 

f:id:komyushokaras:20210730103242j:plain系統樹。カルノサウリアが最後「・・・」になっているのはたぶんメガラプトル類のせい。

f:id:komyushokaras:20210908193644j:plainf:id:komyushokaras:20210908193705j:plain地質年代が全て書いてある親切設計。普通の図鑑にはここまで書いてないのでカンパニアンのダスプレトサウルスも、マーストリヒチアンのティラノサウルスも「白亜紀後期」になってしまう。子供の頃、どちらも白亜紀後期だから共存してると思ってたなぁ。

 

白亜紀体験シアターはかなり良かったと思う。楽しすぎて何度も見てしまった。ストルティオミムスがバランスをとる際に翼をちょっと広げたり、ティラノサウルスに唇があったり、トリケラトプスの角が1頭1頭違ったり(角の違いは図録には反映されていない)、かなり細かい所までこだわっていることがわかった。

 

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f:id:komyushokaras:20210730103503j:plain最後は目玉の“レイン”(LANE)と“スタン”(STAN)。恐竜界の両横綱の登場である。

f:id:komyushokaras:20210730104642j:plainトリケラトプスの頭骨は、頸椎と関節する部分がグレープフルーツ大の球体になっており、頭の可動範囲はかなり広かったとされている。この標本でもそれがしっかりと確認できる。

f:id:komyushokaras:20210730105037j:plainかなり大きく見えるが実はレインはまだ成長途上だそうである。これよりデカくなったら不意打ちでもしない限りティラノ1頭では勝てないだろう。

f:id:komyushokaras:20210730105522j:plainレインといえばもちろん皮膚痕。予想よりだいぶ大きかった。確かに「何かしらのトゲ状構造が折れた跡」に見える。プシッタコサウルスに羽毛トゲがあったことからその考えは妥当なように思える。ディスカバリーチャンネルの「Dinosaur Revolution」(2011, 邦題は「蘇る恐竜の時代」)でもトゲが描かれていたので相当前から情報は出ていたようである(恥ずかしながら全く知らなかった)。

f:id:komyushokaras:20210730110814j:plainスタンの頸椎。よく見ると大きな瘤が.... これが怪我の痕?

f:id:komyushokaras:20210730111216j:plainアークトメタターサル(アルクトメタターサル)。中指の中足骨が左右から押しつぶされる変わった形状。ティラノサウルス類のほかオルニトミモサウルス類やトロオドン類にも見られる。脚の速さに関係しているとか。

f:id:komyushokaras:20210908192722j:plainスタンの正面顔。歪みが少ないことで有名なスタンだが、さすがに全く歪んでいないわけではない。顔の右側は少し変形していることがわかる。ちなみにティラノサウルスは両眼視ができたことが強調されがちだが、実は両眼視は後頭部の幅を広げた結果として得られたものであるらしく、ナノティラヌスを含む若いティラノの眼は正面を向いてないんだとか。

f:id:komyushokaras:20210730112455j:plainスタンといえば発掘当時は“スー”(SUE)に次いで多くの骨が発見され、骨の保存状態も素晴らしく、頭骨はバラバラの状態で埋まっていたことでかえって地層で押しつぶされたことによる歪みが少ないという、数あるティラノサウルスの標本の中でも最良の部類に入る標本である。レプリカも大量に制作され多くの研究に使われてきた。しかし2020年10月、スタンはオークションにかけられ、手数料込みで3180万ドル(日本円で約33億円)という超高額で匿名のバイヤーに買い取られてしまった。本物の骨(化石)でないと出来ない研究というものも当然あり、これは大きな損失である。所有者が研究に対し理解のある人であることを願う。ある意味ブラックヒルズの危機をスタンは2度も救うことになったわけだが、果たして3度目はあるのだろうか....

 

総合的にはかなり良かったと思う(自分はそんなに知識は無いので古生物クラスタのような展示や復元に対するちゃんとした批評は出来ないが)。所々にある3Dのモニターにも驚かされた。こんなに技術って進歩してるんだなあ。足元の表示を見もせずに3Dに見えないと言ってる人の多いこと.... コンパクトであったが、たいへん盛りだくさんな内容であった。そして所十三さんは偉大である。

ちなみにショップで¥10000以上も使ってしまった。ちょうど使ってた折り畳み傘が壊れて新しいのを買おうと思ってたところだったのでつい買ってしまったのだが、公式図録よりも高かった。あと意外とこさかなTシャツが良い値段した....

 

 余談だがみなとみらい駅にこんな広告が。

f:id:komyushokaras:20210730090638j:plainこういう企業の人達も「ひなあい」見てるのだろうか?