コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

姫路市立水族館 その3

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その2はコチラ

アカウミガメ

1階外にはウミガメ水槽。アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種が飼育されている。これはアカウミガメ。ゴツゴツしたハート型の甲羅と大きな頭、赤味がかった体色が特徴。分布は非常に広く、極寒の海域を除くほぼ全世界の海に生息している。日本での産卵は屋久島が多く、北太平洋としては最大の産卵地となっているが、太平洋側では宮城県日本海側では能登半島まで産卵が確認されている(頻度などを考慮すると北限は千葉県になるらしい)。日本で産まれた個体も北米まで回遊することが知られている。

アオウミガメ

こっちはアオウミガメ。アカウミより凹凸が少なくのっぺりした印象。前額板(目の間の鱗)が2枚なのが特徴。名前の由来は脂肪が緑色だからとされる。日本最大の産卵地は小笠原。分布は広いが主に沿岸域に生息し、産卵以外にも甲羅干しのため上陸することがあるとか。絶滅危惧種ではあるが、琉球列島などでは個体数が増加した結果、ウミショウブなどの海草に甚大な被害を与えている。

タイマイ

そしてこれがタイマイ。アオウミに似ているが前額板は4枚(ただし個体差があるようで、「野外観察のための日本産爬虫類図鑑第3版(関慎太郎 2022)」に掲載されているタイマイは前額板が2枚だった)。甲羅の後縁はギザギザで甲板は後ろの甲板に重なる。サンゴの隙間のカイメンを主に食べるため、嘴が細く尖っているのが特徴だそうだが、そこはよくわかんなかったです....

ちなみに以前チラッと言及した祖父母の家の剥製だが、どうやらタイマイっぽい。

水槽の底に齧りつくタイマイ(上の写真と同一個体)。どうやら藻を食べようとしているようだ。ウミガメは雑食性だが、アカウミガメは貝類や甲殻類やクラゲ、アオウミガメは海草、タイマイはカイメンと好みは異なっている。

アオウミガメが他の個体に乗っかっている。交尾か?なんか乗られてるほうタイマイに見えるけど.... この後アオウミガメは振り払われ、さらには噛みつかれそうになっていた。ちなみにウミガメは交雑種がそれなりに確認されている。飼育下だけでなく野外でも時折見つかるらしい。

ボラ

ウミガメ水槽にはボラが入っていたが、案の定、水槽の掃除役だという。カメがメインの水槽に魚がいたら、餌用か掃除役と相場は決まっている。

 

フンボルトペンギン

ウミガメ水槽の隣にはペンギン水槽。鳥インフルエンザ対策か水槽を覆うように網がかけられている。姫路市立水族館は播磨の生き物をメインに展示しているので、ペンギンは少々場違いに思える(ヌートリア外来種だが一応兵庫にもいる)。普通の水族館ではメイン級の生き物だし、ここでもメインとして扱われているので、筆者が捻くれているだけかもしれないが。

 

播磨灘大水槽

この水族館で最も大きな水槽だが、いくつかのエリアに分けられているので、他の水族館の大水槽と比較するとそこまで大きな水槽には見えないかもしれない。それでも充分デカいが。水槽に吊り下げられているのはカキ。播磨灘はカキの養殖が盛んで、その養殖イカダを再現したものらしい。カキが本物なのかは知らない。

アカエイ

日本では最も一般的なエイ。筆者も野外で見たことある。尾に毒棘を持つのは有名だが結構飼育されてるし、タッチプールにいることもあるから、扱いを間違えなければそこまで危険ではないのかも。

ドチザメ

沿岸性の小型のサメ。日本近海で一般的なサメであり、水族館でもよく見られる。アカエイドチザメが、たぶんこの水族館で一番大きい魚。なんの偶然かどっちも胎生の板鰓類。

 

アカミミガメとクサガメ

水族館の奥の方には淡水カメ池。ニホンイシガメ、クサガメ、アカミミガメの3種が飼育されている。冬でも動き回ってるあたり、加温しているのだろう。最も、アカミミガメは真冬の野外でも活動することがあるが。

ニホンイシガメ

ニホンイシガメのみ分けられている。クサガメとの交雑を避けるためだろうか?それと写真中央の大きな個体は、写真左の3匹を含めた数匹の小型個体に追いかけられていたが、これはどういう行動なのだろう?

手柄山中央公園到着時に駐車場から見下ろしたときは、ご覧のようにすごい数のカメが日光浴をしていたが、今の時間(15時半頃)はそうでもない。日が傾いた上に雲が出てきたからね。

ちなみにこの3種のカメの内、在来種はニホンイシガメだけとされるが、実は西日本で見られるクサガメの個体群(ミトコンドリアDNAが韓国の個体とほぼ一致する)は在来の可能性があるとも言われている。鈴木(2012)において比較対象にされている韓国産の個体は実は1個体しか調べておらず、逆に韓国の個体のほうが日本から移入されたのではないかとも。一方で東日本や九州南部で見られる中国系統の個体群は、やはり外来の可能性が高いようだ。

 

ちょうどこのときは企画展「あつまれ にょろにょろたち」を開催していた。このパネルだけで何が展示されているのかだいたいわかってしまうが、せっかくなので行ってみることに。「にょろにょろ」って結構抽象的な表現だが、この展示では細長くてくねくね動く生き物を集めたとのこと。

 

ハリガネムシ

みんな大好き(?)ハリガネムシ。筆者のハリガネムシの動画も再生回数が万を超えている(→)。昆虫少年or少女であれば見たことある人も多いだろう。ただ、筆者が寄生された例を見たのはハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリのみである。オオカマキリにも寄生するのは間違いないんだが、なぜか筆者の周りでは見ないんだよなぁ.... そしてこのカマキリの標本、めっちゃ色綺麗だな。それにハラビロは褐色型だし。

 

メキシコサラマンダー(アホロートル

ご存知ウーパールーパー。「ウーパールーパー」というのは登録商標、つまり商品名のようなもので、彼らの正式な名前ではない。ここまで広がっているので言ったところで今更感はあるが。メキシコサラマンダーという名前はそのものズバリ過ぎるが、アホロートル(Axolotlのスペイン語読み)という呼び名はアステカの神ショロトル(Xolotl)にちなむもので、伝説において生贄になることを拒んだショロトルは花や両生類に姿を変え逃走したが、そのうち水中に逃げ込んだものがアショロトル(Axolotl)。つまりアホロートルは神の名を冠する生き物なのだ(伝説のほうが生き物になぞらえて作られたんだろってツッコミは無しでお願いします)。

ちなみに野生のメキシコサラマンダーは絶滅寸前であり、ソチミルコ湖周辺の運河に50~1000匹程度が残るのみとされる。飼育下繁殖が容易な生き物ではあるが、野外でも簡単に増えるというわけではない。そして生息地が破壊されればそもそも生きていけない。

 

シマヘビ

新館にもいたが、ここにも登場。アオダイショウはいなかった。筆者は何故か、こういうところに展示されるヘビはアオダイショウというイメージを持っていたので、少し意外だった。

 

ヌタウナギ

暗くてわかりづらいだろうけど、八の字に寝そべってる2匹の顔を写してます。深海魚なので眼は退化しているが、光受容体はあるので暗くしているようだ。「ウナギだって~」という声が聞こえるがウナギではない。なんなら狭義の魚類ですらない。

 

シマウミヘビ

ワヌケモンガラドオシ

ホタテウミヘビ

魚のウミヘビたち。ウミヘビには「海に棲む蛇みたいな魚」と「海に棲む蛇」の2つがあるが、後者のほうが圧倒的に有名。違う分類群で同じ名前が付けられてしまうことはしばしばある。ヤマトシジミとかカマツカとかコミミズクとか。

魚のウミヘビと蛇のウミヘビの違い。毒ないウミヘビ(蛇)なんておるの?と思ったが、イイジマウミヘビは魚卵を主食としており毒牙や毒腺が退化しているのだとか。全然知らんかった。

 

ダイナンギンポ

「釣り人の間でギンポと言えばこの魚」らしい。ギンポって名前はよく聞くが、実際に見たことはあんまない。思ったより大きくてビックリ。アナゴにウミヘビ(魚)にギンポと、「ダイナン」とつく魚多いな。

 

ミミズハゼ

河川の砂礫中を動き回るため細長く進化したハゼの仲間。確かに名前の通りミミズっぽく見える。この魚もいつか野外で見てみたい。

 

ハナヒゲウツボ

性転換することでも知られるウツボ。やっぱり綺麗。名前の由来にもなったヒゲがよくわかる。いおワールドかごしま水族館でも見たが、ここまでじっくりとは見られなかったので嬉しい。思ってたよりかなり小さくて細い。そしてウツボの仲間だけあって歯が鋭い。

 

サンゴトラザメ

海底に棲み、サンゴの間を縫うように動き回るという。それを聞いて筆者が思い浮かべたのは、かつてニュースにもなった歩くサメ、エポーレットシャーク。サンゴトラザメは歩くことはできないし、サンゴトラザメはメジロザメ目、エポーレットシャークはテンジクザメ目と分類もかなり違うが、細長い体型はよく似ている。このようなサメが、いつか「歩くサメ」に進化するのだろうか.... と妄想。

 

ニホンウナギ

ここにも登場ニホンウナギ。大きくて丸々としている。やっぱりウナギは良いっすね~。独特な愛嬌があると思う。

しばらく見ていると、1匹が口をカーッと開けた。すると近くの個体も口をカーッと開けて、なんだか険悪なムード。

やっぱり喧嘩に。でもこれっきりで終わった。ウナギにはウナギなりの距離感があるのだろう。

余談だがYouTubeに動画をアップロードしたら、元の動画よりも遥かに濃い色になってて驚いた。色が濃すぎてウナギがよく見えないほどだったので、色々調節してなんとか元動画に近い色にすることができた。今までの動画もなんとなくコントラストが強いような気がしていたが、気のせいではなかったようだ。

 

屋上ビオトープ

本館屋上にはビオトープが設置されている。冬なので草は枯れ、ちょっと寂しい感じに。昆虫など動物は姿を隠すから、特に見るものはないだろうと思っていたが....

こんなパネルが。冬には冬の展示の仕方があると知った。

水の中にはたくさんのカワニナカワニナも冬には隠れてしまうイメージを持っていたから、思ったより活動しててビックリ。

 

標本コーナー

本館3階には標本コーナーが。写真右、オウムガイとアオイガイが並べて置いてあるのは面白い。その下にはイカの甲。

スナメリ

かつては瀬戸内海でも普通に見られたらしい。筆者は鯨類は一度も見たことない。海から離れた場所に住んでいるし、船酔いしやすいから船に乗ろうとも思わないので、出会う機会がまずない。

オオサンショウウオ

2002年までここで飼育されていたらしい。飼育している水族館はそこそこあるので、筆者も何度か見たことある。野外で見てみたい生き物の1つだが、チュウゴクオオサンショウウオや交雑個体が多いらしいから、在来種を野外で見るのは難しいかも。

アメリオオサンショウウオヘルベンダー)とチュウゴクオオサンショウウオ

オオサンショウウオ属の2種はワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに記載されており、国際的な取引は制限されるが、ヘルベンダーは別属であり極稀に流通されることがあると聞いた。今もそうなのだろうか?ヘルベンダー絶滅危惧種(IUCNレッドリストでVUに指定)でCITESの附属書Ⅲに掲載されているのだが....

ところで、チュウゴクオオサンショウウオ及び日本産との交雑個体は特定外来生物に指定される予定だそうだが、流行りなのか「合法的に食えるかも!」とか言ってる層がいてなかなか怖い。見た目で識別できるという論文があるそうだが、パッと見てわかる違いならここまで大変なことになってないだろうし、あげられている写真を見ても、少なくとも筆者(サンショウウオはド素人)には横に並べてじっくり比べればわからなくもない程度の違いである。100歩譲っても一般人が使えるレベルではないだろう。文化財保護法違反者が量産されないことを祈る。指定の目的は輸送や遺棄の防止で駆除がメインではないっぽいし、出来れば今まで通り手を出さないでもらいたい。

あと、チュウゴクオオサンショウウオの一種が飼育下で生き残っていたというニュースが最近出た。生き残っていたことは喜ばしいが、これは外来種が認められたという話ではないことに注意。そもそも見つかったの飼育下だし。

 

本館を見終わった後は新館へ。しかし時刻は17時45分。飼育員さん達が片付けの準備を始めているのでサッと回るだけにした。

カミツキガメワニガメ

前回はカミツキガメ同士、ワニガメ同士で分かれていたが、この日は並んでいたのでツーショットが撮れた。似ているようで結構違う。水槽には餌用なのかオオクチバスの幼魚が。

 

ナマズ

新館1階のナマズ。前回の最後もほとんど同じ写真を撮った気がする。ここがお気に入りのポジションなのだろうか?

 

ニホンウナギ

この水槽のウナギは本当にデカい。にょろにょろ展のウナギもそれなりに太かったが、ここのウナギはその倍くらい太い。一瞬ナマズかと思ってしまうほど太い。

ここで遂に時間切れ。そしてカメラの電池切れ。前回も思ったが、とっても高密度な展示で2〜3時間では全然足りない。1日使い切る気持ちで臨んだほうが良いだろう。筆者がおかしいだけで普通の人はそんなに時間使わないだろうが。なにはともあれ、たいへん満足感が得られる水族館でした。