コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

海 ー生命のみなもとー

※長文&写真多すぎ注意

 

国立科学博物館特別展「海ー生命のみなもとー」に行って来ました。

 

原始地球と水の来歴について

高校の頃に化学や生物で見たような気がする。この辺りは大学でも流す程度にしかやらなかった記憶。ちなみに図録ではもっと詳しく書いてあります。

 

24億年前の石英に含まれる海水

初っ端からとんでもないものをお出ししてきた。24億年前の海水が液体で保存されているというのである。

真核生物の誕生

筆者は細胞内共生説として習ったが、もはや定説と言って良いだろう。嫌気性のアーキア古細菌)が元になっているというのはどっかで聞いたような気もするがよく覚えていない。

 

真核生物の進化

真核生物の誕生に対し葉緑体の獲得はサラッと触れている程度な感じ。下の図は最新のスーパーグループかな?オピストコンタという単語しか覚えてないが、この図だとオピストコンツとなっている。

 

ディッキンソニア・コスタタ(Dickinsonia costata

エディアカラ生物群の顔と言っても過言ではないディッキンソニアさん!?

 

ピカイア・グラシレンス(Pikaia gracilens

一時期は人類最古の祖先とまで言われたが、澄江動物群の発見によりあえなくその地位を失った。それでもバージェス動物群の、それどころかカンブリア紀の生物の顔として君臨し続けている。

 

ハイコウイクチス・エルカイクネンシス(Haikouichthys ercaicunensis

ミロクンミンギア(Myllokunmingia fengjiaoa)と並ぶ史上最古の魚の一種。ピカイアが人類の祖先という地位を失った理由の1つ。

 

ゲイコツナメクジウオ

ゲイコツって鯨骨のこと?と思ったら予想通り。彼らは鯨骨生物群集の一員だそう。

 

インドネシアシーラカンスLatimeria menadoensis

アクアマリンふくしまから遥々科博までやって来た。やはりシーラカンスは人気なようで大きな人だかりが出来ていた。

正面から。顔の右側は組織が一部採られ、眼球もくり抜かれている。魚類の分類学的研究では左体側を使うため、標本は左体側を完全な状態で残さなければならない。サンプルの採取は必ず右体側である。

 

軽石ラフト

そういやありましたね。軽石が流れてきたことが。

 

黒潮大蛇行

テレビで聞いたことはあったが、5年以上も続いているらしい。毎年起こるものだと勘違いしていた。

 

黒潮の魚類

個性的な見た目や色をした魚たち。作り物だと思ってる人もいたようだが、全て実物だそう。魚の剥製は色を塗ったりするからちょっと作り物っぽく見えるよね。

 

スジイルカ

模様がかっこいいイルカ。水族館ではあまり見ない。近年ストランディングが増えているらしい。

申し訳程度の骨盤。尾椎の棘突起には前方へ伸びる突起が。

頸椎。シロイルカやカワイルカなどを除き、鯨類の頸椎はほとんど癒合しており動かすことができない。こんな見た目だがちゃんと頸椎は7つあるらしい。

一番後ろの肋骨が脊椎とつながっていない。反対側も同じようになっていたが、元々こういう構造なのだろうか?それともこの個体はまだ若く、骨が癒合していないのか?

 

アオウミガメ

アカウミガメ

タイマイ

日本で確認されているウミガメは2科6種。そのうち日本で産卵した記録があるのはアオウミガメ、アカウミガメタイマイ、オサガメの4種。オサガメの産卵記録はほとんどないので日本で産卵するのは実質3種。

ウミガメは全種がワシントン条約に記載されており、譲渡等が原則禁止されている。そういえば筆者の祖父母の家にウミガメの剝製があったなぁ....

 

親潮の魚類

黒潮の魚たちに比べ見た目は地味だが、それはそれで良き。黒潮に比べ種数は少ないものの生息量は多いという。

 

深海性の節足動物

有名なダイオウグソクムシはここにはいなかった。全部思ってたよりデカい。深海性だからか?ウミコロギスにコロギスっぽさがないけど、なんでそんな名前がついたんだろう?そしてダイダラボッチってすごい名前だな.... ヨコエビの仲間(端脚目)最大種だかららしいが、巨人の名をつけるとは。

 

ナガスクジラ

世界で2番目に長いクジラ。体重ではセミクジラやホッキョククジラのほうが重い。そう考えると長さも重さも1位のシロナガスクジラって凄いんすね。解説パネルで下顎の右側は白く、左側は黒いということを初めて知った。じゃあこの模型も裏側(左側)は黒いのかと思い回り込むと....

裏側は骨格でした。2012年1月に東京湾座礁した個体を元に作られたとのこと。

 

ホホジロザメ

一般の人にとってサメと言えばホホジロザメと言っても良いくらい有名なサメ。しかしホホジロザメへの理解が広まっているわけではなく、誤解も非常に多い生き物である。だいたい映画とそれに乗っかったメディアのせい。まあ実際、非常に危険な生き物ではある。

良い具合にパネルの後ろに顔が来る。ここだけ見るとちょっとテーマパークっぽい。

 

メガマウス

メガマウスザメ」と表記されていたが、個人的にはメガマウス表記のほうが好き。最近(と言っても50年近く前だが)発見され、メディアにも登場する機会が多く、知名度は高め。つーかプランクトン食の大型鮫3種の中で、ウバザメだけ扱い悪くないっすかね?

 

ホエールポンプ

鯨類や大型鮫は深海と海面を行き来しており、それに伴って栄養塩や熱が移動することをホエールポンプと呼ぶらしい。単に海をかき混ぜているという意味かと思ったが、それだけでなく糞や尿などによる栄養の循環も含まれているようだ。

 

ジャイアントケルプ

海藻も押し葉標本にするんだ.... っていうのが最初の感想。ラベルごと展示されており、2004年にモントレー湾で採集されたことがわかる。

 

ユメゴンドウとシワハイルカのマスストランディング

ゴンドウクジラ類が集団座礁(マスストランディング)をすることは聞いたことがあった。ミトコンドリアDNAのCR領域を調べるたところ、ユメゴンドウの群れは強い母系集団だったのに対し、シワハイルカの群れの血縁関係は遠かったとのこと。

 

大阪湾のマッコウクジラ

博物館やボランティアは動く気満々だったけど、結局海に戻されてしまったオスのマッコウクジラ。「標本の申し出がなかった」という声明に対しては大阪市やメディアに対して生き物クラスタからの批判が多かったのはよく覚えている。そして生き物クラスタの批判を批判してた一般人の声も。この展示で標本がいかに重要なものか理解してくれる人が増えることを願う。ていうかマッコウクジラって上顎歯あったんすね.... 知りませんでした....

 

アマミトゲネズミ(左)とアカネズミ(右)

人類の琉球列島への渡来がメインなのだが、琉球列島の自然に関する展示も一部あった。筆者はアマミトゲネズミは死体のみ見たことがある。そしてその近くにはネコがいた。路上だったのでロードキルの可能性もあるが....

余談だがアマミトゲネズミは染色体数が雌雄とも2n=25(24+X)で、性染色体はXO型。つまりオスもY染色体を持っていない。Y染色体上にあった遺伝子がどこかに移動し、Y染色体が必要なくなったと考えられている。ちなみにトクノシマトゲネズミは染色体数が2n=45で性染色体はXO型、オキナワトゲネズミは2n=44で性染色体は人間と同じXY型であるが、X染色体とY染色体の区別は不明瞭である。この3種の中でオキナワトゲネズミが最初に分岐したらしい。

 

貝塚の中身を調べる

イボキサゴの稚貝が含まれていないことについては、ルールを定めていたというよりは単に食べ出がなかっただけのような気もするが。なんせイボキサゴは成貝でも殻径2cmほどしかないのだから(図録にはイボキサゴ以外の貝類も稚貝が含まれていないようにとれる書き方がされている)。

 

ホッキョクグマ(成獣)

ホッキョクグマ(幼獣)

地球温暖化防止を呼びかける際の看板となっている動物の1つ。このまま温暖化が進むと氷の上で狩りをする彼らは住処を失う。それだけでなく、ゴミを狙って住宅地に侵入したりもしている。ヒグマの北上などもあり、問題は山積み、かつ一筋縄ではいかない。

幼獣の脚。こんなに毛長かったっけ?足がほとんど見えないんですが。

 

ヨコヅナイワシ

2016年に採集、2021年に新種記載されたセキトリイワシ科最大の魚であり、深海のトッププレデター(頂点捕食者)の1つと考えられている。展示されているのはパラタイプ。上の絵は2021年に撮影された大型個体を元に描かれたもの。

イワシだってー!」という親御さんに対し「イワシじゃなくてセキトリイワシだよ!」というお子さん。それに対し「そうだね~」と流されるか「でもイワシって書いてあるよ~」と親御さんに言われ沈められる子どもたち。子どもたちよ、自信を持て。君らが正しいんだ!イワシはニシン目だがセキトリイワシはニギス目なんだ!

 

ウロコフネタマガイスケーリーフット

硫化鉄の鱗を持つ、インド洋の3か所の熱水噴出孔でしか確認されていない巻貝。2019年にIUCNレッドリストでEN(Endangered:危機)に指定された。日本近海には生息していないので環境省レッドリストには未記載。

 

ニホンウナギ

アクアマリンふくしまでの展示が印象的だった。筆者には信じがたいが、昔は簡単に捕れる魚だったらしい。密漁・密輸が横行している可能性もあり、気をつけなければいけない。

 

シャチと生物濃縮

パネルに載っているのはPCB(ポリ塩化ビフェニル)。有名どころはDDT。ちなみにトリチウムは生物濃縮しないらしい。

 

NHKが深海で生きたダイオウイカを撮影してからもう10年か.... 最近撮られたような気もするけどそんなに経っていたか。

 

アマミホシゾラフグの撮影は2012年か。もっと前だったような気もしていた。なお、アマミホシゾラフグの記載は2014年である。

 

DASH海岸

自然番組は生き物クラスタから批判が起きる場合がしばしばあるのだが、DASH海岸はそれが少なくて驚いた記憶。

 

名前通り海に関するありとあらゆることを取り上げた感じの展示。筆者の興味が生物に偏っているので、記事の内容も生物寄りになってしまったが、船の模型なども展示されており生き物クラスタ以外にも刺さるのでは?と思わせる内容だった。