コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

長崎ペンギン水族館

用事があって長崎に行くことになったのですが、用事が済んでから帰りの飛行機までだいぶ時間があったので、長崎ペンギン水族館に行ってきました。

名前通りペンギンがメインの水族館。1959年に開館した長崎水族館を前身とする水族館で、1998年に1度閉館したが、住民などの強い要望と署名の結果、移転・規模縮小の上で2001年に長崎ペンギン水族館として開館した。実は最近まで名前も知らなかった。

カメラを持って来なかったので写真は全てスマホです。

「ぎん吉」と「ペペ」の剝製とカタクチイワシの円形回遊水槽

「ぎん吉」は世界最長飼育記録を持つペンギンで、その期間は39年9ヵ月15日間。南氷洋で捕獲され(旧)長崎水族館に搬入された個体であり、そのときすでに成鳥であったため推定年齢は40歳以上とされている。「ペペ」はそのぎん吉の娘で国内初のキングペンギン3世とのこと。野生個体(ぎん吉)の娘だから2世では?と思ったが、ぎん吉とともに搬入された個体の子どもとぎん吉の間に生まれた子、つまりワイルド個体とF1個体の子どもなんだとか。これをF2とするかは人によるかも。

 

亜南極ペンギンプール

ここの目玉である巨大水槽なんだけど、ちょうどペンギンの餌やりタイムが始まってしまいみんな水から上がってしまった。まあ逆に珍しいかも?

 

この隣は長崎の海水槽。当然といえば当然だがペンギン以外の水生生物も飼育している。

ドチザメ

「サメは泳ぎ続けないと死んでしまう」と言われるが、ドチザメネムリブカなどそうでないサメもいる。ドチザメは小型でおとなしく、飼育しやすいサメだという。ちなみに単為生殖も行う。

奥はツムブリだけど手前は何だろう?展示種のパネルに一致する奴がいないんだが....?鳥はそれなりに同定できるようになったけど魚は全くわからん。

アカハタ

赤いハタだからアカハタ。でも体色には個体差があるらしい。アカハタに限った話ではないが、若い個体はみんなメスで、成長するとオスに性転換する。

トラウツボ

湾曲した顎と鋭い歯、目の上に突き出た鼻孔(後鼻孔)が特徴の派手な色をしたウツボ。コケウツボなんかもそうだけど彼らは口を完全に閉じることはできない。獲物をグリップするのに都合が良いのかな?

ウツボ

ウツボという名前のウツボ。こっちは口をぴったり閉じられる。歯が見えないのでトラウツボよりおとなしめな印象を受ける。実際の性格はそうでもないらしいが。

 

さかなクンのサインが飾られていた。約5年前だがどういう経緯で来たんだろう?

 

ソメンヤドカリとベニヒモイソギンチャク

ヤドカリの中にはイソギンチャクを宿(貝殻)につけ、己の防御兵器にする種がいる。彼らはその代表種。引っ越しの際はイソギンチャクも新たな宿に移し替える。ヤドカリはときにはイソギンチャクを非常食にするらしいのでイソギンチャクにメリットがあるのか個人的には疑問だったが、自分で動くよりも遥かに速いし、ヤドカリのおこぼれを食べられるかもしれないし、固着する場所がない環境でも生きていけるので補って余りあるということか。

さらに進んだ関係として、キンカライソギンチャク属(Stylobates)はヤドカリの背負う貝殻に固着すると、キチン質の分泌物でヤドカリの宿を「増築」することが知られている。キンカライソギンチャクとその共生相手のヤドカリは深海性であるため、資源の少ない深海で引っ越しの頻度を減らす意味があるのかもしれない。あと深海のような低温・高圧の環境ではある水深以上になると貝殻の主成分である炭酸カルシウムは固体で存在できなくなるので、その対策とも考えられる。また、トゲツノヤドカリは宿ではなくハサミにヤドカリコテイソギンチャクというイソギンチャクを付着させている。

 

オニオコゼ

昼間は砂に潜っているらしいが、この見た目で砂に潜られるともう見つからないだろう。というか岩の上に鎮座しててもたぶんわからん。ちなみに、オコゼは山の神のお気に入りという話があるが、自分の醜い顔に傷心した山の神に対して「もっと醜いものがいる」とオコゼを見せたところ、「私より醜い」と機嫌を良くしたためという故事に由来するそう。何というか....人間っぽい神様だ.... ただ、「オコゼは見た目は悪いが中身は良い(とても美味しい)ということで、山の神は見た目よりも中身が良いものが好きであり、邪心は災禍を招き、正心は難を逃れることを教えている」という説もある。

 

ミズクラゲの生活史

種によって異なるが、クラゲは浮遊生活のクラゲと、固着生活のポリプという2つの成長段階で増殖を行う。大まかな生活史を言うと、クラゲは有性生殖で卵を受精させると幼生を放出、幼生は岩などに固着するとポリプとなり、無性生殖で増殖し自分のクローンでコロニーをつくり、成長すると子クラゲを放出する。有性生殖の「相手がいないと増えることができないがDNAをシャッフルできるので環境の変化に強い」、無性生殖の「ほとんど自分(親)のコピーであるため変化に弱いがすぐに増えることができる」という、それぞれのメリットを得られデメリットを打ち消せる、非常に合理的な繫殖方法である。

 

イセエビ

食材として有名だけど鎧武者のようでいかつくてかっこいい。昼間は岩陰に隠れており夜になると動きだす。イセエビって岩場のイメージがあるけど何でこの水槽は砂だけなんだろうと思っていたが....

水槽の奥には明らかに古代の生き物が。後ろの絵から推測するに、ここはもともとカブトガニの水槽だったようである。カブトガニは何処へ行ったのだろう?

テレビでも紹介されたイセエビとウツボの共生について書いてあるけど、どうやらこれガセネタの可能性が高いらしい。ウツボはイセエビを食べるので。しかし、そもそもウツボは大物に積極的に向かっていくタイプではないので大きなイセエビには手を出さず、共生しているように見えるということらしい。

 

亜南極ペンギン室

亜南極ペンギンプールの上部には陸地がつくられている。ここにいるペンギンはキングペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、ミナミイワトビペンギンキタイワトビペンギンの5種。

換羽中のキングペンギン。羽に艶がないので体調が悪いのかと思ったがそうではなかった。安心。

これは巣だろうか?産卵とかはバックヤードでさせる気がするけど....

上からもプールは見える。やっぱり普段は縦横無尽に泳ぎ回る姿が見られるんだろう。たまたま自分が餌の時間に当たっちゃっただけで。

 

フンボルトペンギン

マゼランペンギン

ケープペンギン

温帯ペンギンゾーンにはフンボルト、マゼラン、ケープのそっくり3種。3種ともケープペンギン属(Spheniscus 別名フンボルトペンギン属)に属している。実はガラパゴスペンギンもこの属でSpheniscusは4種いるんだけど。

突然騒がしくなったので何かと思えば餌やり。お兄さんの周りにすごい群がってる....

餌やり後にはケープペンギンの水浴びが見られた。ちゃんと右と左を交互に洗っている個体もいるのが面白い。

 

コガタペンギン

世界最小のペンギン。葛西でも見たけど本当に小さい。前傾姿勢気味であり、原始的な特徴を残していると考えられる。

泳いでいるところが撮りたい!という欲を抑えられず、水槽の前に何分も居座ってやっと納得できる写真が撮れた。周りに人いなくてよかった.... 明らかに迷惑客だもんな....

 

名前通りペンギンがたいへん充実しており、他の水族館であれば「ペンギン」で終わってもおかしくないところを終わらせないように、展示場や見分け方など工夫がなされている。そしてボリュームの割にコンパクトで、回るのに2時間もかからなかった(17時閉館なので自分がちょっと急いでいたのもあるけど)。ペンギン以外の生き物についてはまあ普通といったところ。カブトガニオオウナギがいなかったことは気になるけど。

アクセスも悪くないし、長崎に来る機会があればまた行ってみたい。

 

???