コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

清流じゃなくても

7月半ば。オイカワの産卵を見に行ったことで、あの魚も見たくなったので行ってみることにした。

イカワを撮影した川から数km離れた別の川。水系は同じだからオイカワの撮影をした川にもいるんだろうけど、過去に実際に見て、いることがわかっている場所のほうが良いだろう。30℃を超える暑さの中、あまり長時間外にいるようなことは避けたい。

 

イカ

到着してすぐに魚を発見! ....でもオイカワでした。婚姻色が強く出た大きなオス。15cmを超えてそう。嬉しいけれど、今回の狙いは君じゃないんだ....

今回の狙いは魚だけど、それ以外にも興味を引かれる。

カワセミ

7~8cmはありそうな大物をゲット。筆者の感覚としては、カワセミは水辺で最も一般的な鳥類の1つである。

 

オナガサナエ

なんだこのちっちゃいサナエ!?と思ったらオナガサナエ(メス)。オナガサナエは見たことあったけど、距離が遠かったので大きさがよくわからなかったんだよな。こんな小さかったっけ?

どれくらい小さいかというとこれくらい。筆者の左手はフェンスに触れています。これでもサナエトンボとしては中型だとか。

日本最大のサナエトンボであるコオニヤンマはこれくらい(別の場所で撮影したもの)。角度が違うから比較しづらいかもしれないけど、大きさが全然違うことはわかると思う。

 

オニグモ

幅50cmはあろうかという大きな円網を発見。その網の端、フェンスに固定された部分にオニグモが鎮座していた。脚は糸に触れており、飛び出す準備は万端なようだ。

 

アメリカザリガニ

アカミミガメ

今年の6月から特定外来生物に指定されたコンビ。本来は日本にいないのに、今や川や池にはいないほうがおかしいレベル。この川にもたくさんいる。

 

スッポン

やはりスッポンは良い。それにしても今年はスッポンをよく見かける。今まで見なかったのはなんだったのか、4月から毎月、探さなくても見ている。

 

モクズガニ

なんとモクズガニが現れた。筆者は奄美大島の山の中でしか見たことがなかったのでかなり驚いたが、県内ではそんなに珍しい生き物ではないという。ただし夜行性のため目につくことは少ないとか。ハサミの毛が白いので脱皮して間もないようだ。

 

本日何度目かわからない魚の群れ。今のところすべてオイカワ。しかし今回の群れはよく見ると(オイカワもいるが)違う魚の群れである。オイカワよりも鱗がずっと細かく、はっきりとした背中線がある。これはまさか?

アユ

見つけた!これが今回の狙いであるアユ。結構あっさり見つかった。いることはわかってたとはいえ、実際に見るのはおよそ5年ぶり。数が減ってたらどうしようと思ったが杞憂に終わった。

アユは日本を含めた東アジア一帯に生息する魚で、河川で産卵し、孵化するとすぐに海へ降り、その後に産卵とは関係なく再び河川に戻る「淡水性両側回遊魚」である(琵琶湖産のアユは海に降りず湖で成長する)。大きなものでは30cmほどになるが、このとき見られたのは10~15cm程度であった。

綺麗な水でないと住めないとされ「清流の女王」とも呼ばれるが、そこまで汚染に弱いというわけでもないらしい。食材として人気であり、現在でも積極的に放流されている。そのせいで色々と問題も起きているわけだが....

ちなみに神奈川県でも養殖アユの放流は行われており(この水系で行われているのかは不明。放流を目指した議員はいたが)、このアユが天然物なのかはわからない。天然物なら嬉しいのだけれど....

今回筆者が一番撮りたかったのがこの採餌シーン。口元を擦り付けるようにして石についた藻類をこそげ取って食べる。アユの特徴であるベロッとめくれる分厚い唇は、たぶんこの採餌方法において役立っているのだろう。具体的にどう役立っているのかは知らない。

こっちではコンクリートについた藻類を食べている。アユが藻類を食べると岩に「食み跡」と呼ばれる食痕が残るそうだが、筆者はいまだに見たことがなく、今回も見られなかった。

藻類をこそげ取る瞬間をアップで撮影。凄い顔になっている。それにしても豪快な採餌方法である。唇が切れるんじゃないかとか、眼をぶつけるんじゃないかとか、見てるこっちがハラハラする。

こちらはオイカワ。オイカワも藻類を食べるが、アユとは異なりついばむようにして食べる。これがジェネラリストとスペシャリストの違い。食べる藻類が違うという可能性もあるけど。

なんとなくだが、アユはオイカワよりも深い場所で採餌しているように見える。アユが好むのは藍藻や珪藻だそうだが、深いところに多いのか?なお、写真に写っている緑色の藻類の分布は、パッと見た感じ水深とは関係がなさそうだった。この藻類はアユの好みではないのだろうか?

同じ場所をグルグル回りながら単独で採餌していた15cmほどのアユ。縄張り持ちか?と思ったが、しばらくすると群れに合流したのでたまたま1匹になっていただけのようだ。

藻類を食べるオイカワの後ろを先ほどのアユが通過する。一触即発か?と思いきやアユは素通りして何も起こらなかった。

しかしいつも素通りするわけではなく、オイカワを追い払うこともあった。何が引き金になっているのだろうか?

そしてやっぱり魚の撮影はムズい。AFでは水面にピントが合うことが多いが、MFではピントを合わせている間に魚が移動してしまう。だからといってピントを合わせて待つ作戦をしても、相手はこちらの思い通りには動いてくれない。そしてピントを合わせても水面の揺らぎでブレる。

今回は動画でも苦戦した。魚が浅いところにいればピントが水面に合っていてもそんなに違和感はないが、アユは深いところにいることが多く、水面にピントが合うとアユはぼやけてしまう。AFは水面にピントが合いやすいのでMFにするが、その場合動き回るアユを追いかけるのは諦めなければならない。画角を広くすれば問題ないが、あまり広角にするとアユがわかりづらくなる。

比較用として藻類を食べるオイカワの動画(別の場所で撮影)。先述の通り食べ方が全く違うのがわかる。

 

今でこそ高級魚のアユだが、昔は何処にでもいるような魚だった....らしい。筆者が生まれるよりずっと前のことらしいが、羨ましい限りである。驚くことにウナギ(ニホンウナギ)も昔は簡単に採れたらしい。アユは復活したところも多いが、ウナギの未来はまだ明るいとは言えない。そして復活しつつあるアユも、いまだに放流が行われている。

魚に限らず、生き物が減った場合、他所から持ち込んだ個体や飼育個体を放すという方法がとられることは珍しくないが、それはほとんど最終手段である。「放流しても魚は増えない」という論文が出たのは今年の2月。これからは放流ではなく、今いるものたちをどう増やすかという方向に変わっていってほしいものである。

アユとオイカワの群れ。オイカワやカワムツは琵琶湖産のアユやゲンゴロウブナに紛れて各地で放流され定着した。