コミュ障カラスの生き物ブログ

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ムネアカハラビロカマキリ その2

高尾山でムネアカハラビロカマキリを捕ったという記事を以前書いた(ムネアカハラビロカマキリ - コミュ障カラスの生き物ブログ)が、そのときに捕ったのはオスだった。どうせならメスも見てみたい。それもデカいやつを。

 

そんな思いは日を追うごとに大きくなり、ついに僕はムネアカがいることで知られる神奈川県内の某緑地へと向かった。

 

正直かなりの強行スケジュール。なんでここまでして捕ろうと思ったのか自分でもわからない。まるで何かに憑りつかれていたかのようだった。自分が人としての道を踏み外しつつあることを実感した。

 

それはさておき、ウキウキで緑地へと向かったのだが到着してすぐ希望は打ち砕かれた。森が深いのだ。正確に言うと人が入れるところはそれなりに開けているが柵などの人工物が少ない。木の上や茂みに潜むカマキリを見つけるのは簡単ではない。カマキリがよくいる場所がすでに分かっている場合はそれでも見つけられるが、ここには初めて来たのでその作戦は使えない。おまけに曇り空の夕方、生い茂った木々がそのわずかな夕日さえも遮っておりあたりは暗い。八方ふさがりだ。

諦めかけたその時、立て看板が目に留まった。そこにははっきりと「動植物の採集は禁止」とあるではないか。

 

何ということだ。初めからここでは捕れなかったのだ。リサーチ不足。諦めるしかない。

 

ちなみに神奈川県には他にも動植物の採集禁止の場所にムネアカが生息している。採集禁止がかえってムネアカの増殖を放置することになったのかな?と思ったが、採集OKの場所でもムネアカはいるのでその可能性は限りなく低いだろう。

 

 

諦めて駅へ向かって歩いている途中、家の壁に緑色のものが張り付いていた。

 

 

 

「おるやん。」

 

なぜか関西弁になってしまった。それくらい普通に、いきなりいたのだ。

体は緑色で幅広く、オオカマに比べ一回りか二回りほど小さい(正確には短い)。

 

実をいうとこのときはまだ確証は無く、「やっぱ在来種かも」と思ったのだが近づいてみるとやはりムネアカだった。人の家の前で立ち止まるのは不審極まりないので周りに誰もいないことを確認すると素早く捕って素早く立ち去る。これで目標達成。

 

 

自宅で記念撮影。

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この個体はメスだった。傷も汚れも少ない綺麗な個体。

 

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前脚基節の黄色いトゲと赤い前胸がよくわかる。在来ハラビロとは明らかに違うのにここだけでもなぜかハラビロっぽく見える。

 

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腹部はとても幅広くほとんど菱形。胸部は幅は在来ハラビロより幾らか広いくらい(ただし日本本土の在来カマキリの中でハラビロより幅広いのはオオカマくらいなのでオオカマ並みに幅広いともいえる)だがはるかに長い。幅はオオカマ並みだがこの個体の全長は70mmほどと僕が見馴れたオオカマキリより二回りほど短い。僕が見てきたオオカマキリはオスもメスも90〜95mmくらいが普通なので幅はともかく長さはオオカマ並みとはいえない。

 

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在来ハラビロ(下)との上からの比較。前胸が長いことの他に腹部の幅が広いことがわかる。前胸が長いうえ腹部の幅が広いのでオオカマやハラビロばかり見ている僕からすると異様な体形に見える。


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在来ハラビロ(下)との側面からの比較。ムネアカは前胸の長さの他、前翅の側面の高さも在来ハラビロとは異なる。この幅広い前翅が幅広い腹部をぴったりと覆っている。


この個体も標本にすることにした。ちなみにハリガネムシはいなかった。


高尾山の個体はどうなったかというと・・・

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高尾山の個体。結構いい感じに出来たと思う。やはりオスのほうが細い。また翅が長く、透き通っている。長いのは飛ぶためだろうけどなぜ透き通っているのだろう?

この個体は左後脚が変な方向に曲がっていた。しかしグラグラしておらず固まっており古傷のようだ。

撮影用に針を外したがほぼ乾燥していた。でも念のためもう少し置いておく。今回捕ったメスとの比較もいつか記事にする予定。