コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

トラツグミ

3月の始め、蛙合戦を見に近所の公園へ行ったのだが、残念なことに既に終了していた。そのまま帰るのもつまらないので適当に歩いていたところ、2~3人がカメラを構えているのを発見。ルリビタキか?しかし姿も見えないし声も聞こえない。何を見ているのだろうか?

しばらく見ていると地面がモゾモゾ動いたように見えた。何だ?

トラツグミ

なんとトラツグミ。珍しいわけではないが、そんなに頻繁には見られないので見られると嬉しい鳥。

黒、黄色(黄褐色)、白の模様は見事な迷彩効果を生む。わずか5mほど先にいたのに動くまで気づかなかった。

トラツグミは全長29.5cm、体重130gで、日本産ツグミ類の中では最大級だという。個体差もあるので最大と断言はできないようだが。

このトラツグミ、採餌しながら歩き回っているが、今いる地点が良い餌場なのか、こちらを警戒しながらもここから離れない。トラツグミには悪いが、せっかくなのでP900のズーム機能を使って色々撮ってみることにした。

顔のアップ。結構白っぽく見えるが....

少し角度を変えるとこの通り。顔に陰が入り、まるで印象が変わる。色味はこのように光加減で変わってしまうので、同定の際は気をつけなくてはいけない。

“トラ”ツグミの名の通りトラを思わせる黒、黄色(黄褐色)、白のカラーリングだが、トラのような縞模様ではなく鱗模様。1枚1枚の羽毛の先端が黒くなっており、その羽毛が重なり合うことで鱗模様をつくっていることがわかる。

今度は左前から。この写真だとツグミシロハラのメスのような顎線があるように見える。また、図鑑によると下嘴基部は肉色とのことだが、これ肉色なのかなぁ?前述の通り光条件で印象は変わるのでよくわからない。

続いて体。背中の羽は黄褐色で先端は黒。お腹の羽は先端が黒いことは背中の羽と同じだが、ほとんど白で、黒い部分との境界がわずかに黄褐色となっている。もしかして背中の羽も、根元は白かったりするんだろうか?....と思ったがそんなことはなく、根元はどちらも灰色らしい。

翼は、初列雨覆と大雨覆は他の部分と比較して黄褐色が濃いように見える。図鑑によると風切羽は大部分が黒褐色で、外縁は黄褐色をしているとのこと。閉じてると外縁しか見えないからよくわからない。

背中から見るとこんな感じ。確かに風切羽の大部分は黒褐色をしているように見える。でも三列風切は内半分が黒褐色で、外半分が黄褐色をしている。

続いて尾羽。図鑑によるとトラツグミの尾羽は14枚で、中央の4枚は一様に黄褐色。残り10枚は黒褐色で先端に白斑があるという。つまり今見えている尾羽は中央の4枚で、その脇からチラリと見えているのが外側の尾羽。閉じると中央が上に来るのね。

たまたま撮れた下尾筒。白いが先端に小さな黒斑。なぜこんなところにも黒斑をつけているのだろうか?カムフラージュにしては斑が小さいし、地上にいれば見えない部分だから真っ白でも良さそうなのに。トラツグミに聞いたところで「こっちが聞きたい」と返されそうだけど。

再び前から。トラツグミに限ったことではないが、嘴峰の根元は鼻孔周辺に比べ、羽毛の生え際が後退している。また、脚は図鑑では淡褐色となっているが、筆者としては下嘴基部よりこちらのほうが「肉色」って感じがする(※個人の見解です)。

1時間ほど観察していたが、ひたすらトラダンスをしながら採餌していた。ダンスは写真では伝わりづらいので動画で。

 

ダンス中に突然尾を下げた状態で静止。しかしこの後何事もなかったかのようにダンスを再開した。トラツグミは見た目も面白いが、行動もなかなか面白い鳥である。というか、興味を持てば何でも面白く見えてくるものなのである。

トラダンスは地面に振動を与え、ミミズなどを追い出すためのものである。しかしこのトラダンス、いつでもどこでもするわけではないらしい。「採餌は見れたがダンスは見れなかった」という話も聞くし、筆者もトラツグミは何度か見たが、ダンスをせずに採餌していたこともあった。また、これまで見てきたダンスはそんなに激しいものではなかった。

以前見たトラツグミ。ダンスをしなかったのは3枚目の写真の状況。落ち葉が積もっているが、下は石畳である。やはり地面の上でないとやらないのだろうか?地面の上でもやらなかったこともあるけど。

また、動画内の採餌シーンは4回あるが、1回目はケラ、2回目はミミズを捕らえている。そして3回目ははっきりとはわからないが、何か節足動物を捕らえたように見える(↓)。なお、4回目は後ろを向いていたので何を捕らえたのかは不明である。上が1回目で下が2回目。どちらも動画の切り抜き。画質の悪さはお許しください。

3回目。こちらも動画の切り抜き。やはり画質が悪いのでわかりづらいが、脚が見えるのでミミズなどではない。これもケラっぽく見えるけど自信がない。

それにしても、ミミズは地面の振動を感知すると地上に出てくるというのは聞いたことがあるが、まさかケラも?聞いたことないけどな...

 

筆者がこのトラツグミに気づいたのは、冒頭で述べた通りカメラマンがいたからだが、ラッキーと思う反面、鳥屋としては自力で発見したかったという思いもある。また、カメラマンたちは10~20分ほどで1人を除いて立ち去ってしまい、残る1人も他の鳥(ルリビタキ?)狙いなのかトラツグミへの興味を失っており、その後新たにやって来たカメラマンたちもやはり20分ほどでほとんど立ち去ってしまい、1時間もトラツグミを見続けたのは筆者くらいであった。長時間見続けるのが良いことなのかはわからない(鳥にとってはたぶん悪い)が、相手をじっくり観察することは重要である。写真を撮る撮らないには関係なく、じっくり観察すれば新しい発見があるし、これ以上近づいてはいけない距離というものもなんとなくわかってくる。それがわかれば鳥見をするうえで、少なくともマイナスにはならないだろう。偉そうに語っているが自分もほとんど見ているだけで、観察できているかと言われると微妙である。今回含め、後から見返して気づくことが多い。観察することを心掛けながら鳥見をしていきたいものである。