コミュ障カラスの生き物ブログ

生き物好きなコミュ障が気ままに書くブログです。

クビワキンクロと鳥屋のマナーについて

※写真多すぎ注意

以前珍鳥が出たという報告をした(ムネアカハラビロカマキリ 雌雄の標本比較 - コミュ障カラスの生き物ブログの最後に書いてあります)が、その珍鳥とはクビワキンクロのことである。

 

 

 

 

クビワキンクロは迷鳥で、毎年日本のどこかで少数が目撃される程度で、まさかこんな近所に入るとは思わなかった。

 

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今回クビキンが入ったこの場所は僕が子供の頃から何度も訪れている場所である。というよりこの付近にある幼稚園・保育園、小学校、中学校は必ず遠足でここに行くので近所に住む人は必然的に何度も訪れることになる。

 

この公園での鳥見記事

クリスマスルリビタキ - コミュ障カラスの生き物ブログ

2020年鳥納め - コミュ障カラスの生き物ブログ

 

 

さて、読者の皆様に自慢したいのは、僕はこのクビキンをインターネットやSNSに頼らず自力で発見したということである。

もともとはヒメヤママユを撮影&採集するために行ったのだがあまり良い結果が出なかったので鳥見をすることにした。しかし鳥のほうも出が良くないため撮影の練習のためにこの池を訪れた。この池は普段カワセミ狙いのおじさんたちがバズーカ構えて居座っているのであまり近寄らないのだが、通年カルガモがいるし、毎冬キンクロハジロがやってきて訪れた人たちから餌をもらっている(本来野生動物への餌付けはNGなのですが)。そのためカモたちは人を見ると寄ってくるので撮影の練習には最適なのだ。

 

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ヒメヤママユ(スマホで撮影)

 

そしてここでキンクロハジロを撮っていると見慣れない鳥がフレームインしてきたのである。

 

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最初は嘴の先の白帯と眼の後ろの白線からホシハジロのメスだと思ったが、背中の色が違うし顔つきも違う。まさか雑種か?と思って写真を撮りまくり、家に帰って図鑑を見ても該当する種が載ってなかったので雑種だと信じてインターネットでハジロ系の雑種を調べまくったが、似たものが見つからなかったので「そりゃ雑種なら似てるのがいなくてもおかしくないよな~」と雑種と断定しようとしたときにメジロガモとクビワキンクロが同じ場所にいたというブログを見つけて雑種ではないとわかり少しがっかりしてしまった。クビキンも相当レアなのに。

 

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クビキンだとわかってからはあまり写真を撮らなくなってしまった。何せ初日に600枚以上撮ったのでこの後いくら撮っても似たような構図になってしまう。

 

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種類がわからなかったこともあり、今回は普段はあまり撮らない翼や腹部も撮影した。どこが同定に必要なのかわからなかったので。

脇羽や翼下面や腹は白いが脇腹は褐色。雨覆は灰褐色で風切羽は灰色をしている。

こうしてみると顔の模様以外はキンクロのメスとよく似ている。しかし次列風切はキンクロほど白くはない。

 

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キンクロより一回り大きく見えるがさすがにカルガモよりはずっと小さい。頻繫にカルガモに追い払われていた。

 

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あくび。口の中ってこんな感じなんだ。

 

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よく見るとオスと同じように脇の淡色部が背中側に切れ込んでいる。和名のわりに首輪模様は目立たない。

 

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距離が近いし天気も良いと良い写真が撮れる。

僕がこの個体を見つけたのは11月16日のことだがその前日にはすでに目撃されていたようである。

ちなみにあるブログでは「100羽くらいのキンクロに交じって」と書かれていたけど盛られています。実際キンクロは30羽ほどです(日によって変動するけど最大でこれくらい)。

 

 

 

この公園に一年中留まっているカモはカルガモだけで、キンクロは冬にやって来る。そして真冬になり池が凍りつくとカルガモは残るがキンクロはいなくなる。

12月の半ばから朝晩が急激に冷え込むようになり、クビキンがいた池が全面凍りついてしまいカルガモキンクロハジロとともに隣の池に避難していた。しかし多くは移動したようで18日の時点でキンクロは3羽しか残っていなかった。また、カルガモはそうでもなかったが、このときのクビキンとキンクロは明らかに人に近づくようになっていた。人から与えられる餌にかなり依存していたようである。20日の時点では避難した池でカルガモの群れに交ざっていた。このときキンクロは1羽だけ、しかも隣の池でやはりカルガモの群れに交ざっておりクビキンとは一緒にいなかった。そして21日にはクビキンはいなくなってた。しかしキンクロは3羽になっており、なぜかマガモハシビロガモが入っていた。

抜けたと思っていたが24日には戻っていた。そして1月4日に再び姿が見えなくなった。その後キンクロが戻ってきてもクビキンは戻って来なかったので抜けたと判断した。

 

 

2021.4.23 追記

2月に見に行ったところ戻ってきており、そのまま2ヶ月ほど居座っていた。

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以下はおまけ。 

 

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クビキンに気をとられて気づくのが遅れたが、カルガモが目の前で交尾をしていた。かろうじて撮れたのが上の写真。ちょうどオスが離れたところ。あと0.5秒ほど早ければ交尾シーンが撮れたのに。残念。 

 

 

 

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ウラギンシジミ(メス)
このとき(11月18日)はまだまだ活動中。メスは翅上面に白い模様があるが、オスの場合はオレンジ色になる。

 

 

 

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ムラサキツバメ

12月21日撮影。成虫越冬なので冬でも見ることができる。ここにはムラサキシジミもいるけど尾状突起があることで見分けがつく。 

 

 

 

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キンクロハジロ

スズガモとかクビキンのオスとか言われてたけどこれはたぶんキンクロハジロ。ちょびっと冠羽あるし。

 

 

 

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キンクロハジロ

雑種かもしれない!と叫んでる人いたけどこれもキンクロに見える。

 

 

 

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カワセミ

この日(12月18日)はカワセミおじさん達がいなかったのでゆっくり撮影できた。でもちょっと遠い。枝葉が被るのでこの角度からじゃないと撮れないんだけどなぁ・・・

 

 

 

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ハシビロガモ

ここでハシビロガモを見たのは初めて。でも池をあまり見てなかったので入ったことがあったかもしれない。それよりも12月にミシシッピアカミミガメが活動しているのが衝撃的。さすが世界の侵略的外来種ワースト100にランクインしているだけのことはある。耐久力は並大抵ではない。

 

 

 

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マガモ

以前も書いたが10年以上前には何羽かいた記憶があるけどいつの間にかいなくなってカルガモキンクロハジロだけになってしまった。ここでマガモを見るのは久しぶり。まあハシビロと同じように実はちょこちょこ入ってたとしてもおかしくないけど。

 

 

 

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キンクロハジロ

写真は12月21日のもの。真ん中のやつは目の色が濃いし、左のやつは嘴に淡色の帯があるけどキンクロで良いと思う。

 

 

 

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カケス

見るのは難しくないけど枝葉が茂ったところでよく見られるので写真はムズい。

 

 

 

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コジュケイ

ここは動植物問わず外来種が多い。鳥ではコジュケイ、ガビチョウ、ドバトを見ることができる。でもドバト以外は藪にいる鳥なのでよく見る割に写真は少ない。

 

 

 

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ルリビタキ

コジュケイを撮ってたらルリビタキがすぐ隣に来てた。周りにカメラマンは一切おらず独り占め。家が近い自分がこういう出会いをするとものすごい優越感を得られる。

 

 

 

 

さて、ここから先は愚痴のようなものである。あくまで個人の意見なので無視してもとばしてもらっても構わない。

 

自分は基本的にはこのような珍鳥が出た場合、詳細な場所を出すのは避けるようにしている。あまりたくさんの人が集まると他の利用客がそこを利用しづらくなったり、マナーの悪い自称鳥屋が鳥屋とともにやってきてそこを荒らしてしまうことが考えられる。そうなると最悪そこへの立ち入りまたは撮影が禁止・制限されるかもしれないからである。そこまでいかなくとも鳥が人間を警戒し寄り付かなくなることもある。

 

しかし今回のクビワキンクロについてブログに詳細な場所を書き、さらにそれをTwitterにあげている人がいた。その中の1人のブログには以前横浜にクビキンが現れたときそれを目当てに100人以上集まったことが書かれていた。そしてその直後に「そんなに人が集まるのなら自分のブログいいねも増えるのではないか」「増えないのであれば次回から珍鳥は掲載しない」という旨のことが書かれていた。一応最後に「(笑)」がついておりネタという見方もできるが、これには不快感を感じる。

 

いいねが増えると嬉しいし、珍鳥の情報をあげたい気持ちもよくわかる(自分も以前アオガンの写真をあげて注意された)。しかし今回クビキンが入った場所は先述したように地域住民が良く訪れる場所である。しかもクビキンがいる池はそんなに大きくない。そんな場所に100人集まるような鳥がいるとSNSで大々的に報じて良いものだろうか。自分のブログいいねが増えることしか考えておらず、地域住民のことを少しも考えていない。今は誰でもブログが書ける時代であり、鳥屋のブログは山ほどあるので個人のブログにあげるくらいであればそんなに影響はないかもしれないが、それでも安心は出来ない。SNSなどもってのほか。実際に訪れたなら、もし本当にそこに100人集まったらどうなるかわかるはずである。そもそも珍鳥情報をあげる際、詳細な場所をあげる必要などない。○○県とか○○市とかで充分である(場合によってはそれでもわかっちゃうけど)。

 

珍しい鳥が出た場合、最低限のマナーとして詳細な場所は伏せるべきだろう。そして出来れば抜けるまで一切情報をあげないほうが良い。みんなで一緒に見たいときは鳥屋仲間たちにメールなりLINEなりで知らせれば良いし、TwitterにだってDMがある。SNSは全世界に発信してしまうものである。そのことをもう少し考えられないものだろうか。

 

そして今回、Twitterでも言ったが明らかにここにカメラマンが増えている。その中には餌やりに何かお礼を言っている人もいたが、鳥屋なら本来は注意するべきだろう。また、ここはルリビタキも入るのだが、クビキンのポイントだけでなくルリビタキのポイントにもカメラマンが増えた。クビキンに満足したカメラマンがルリビに流れているようだ。こちらがアオジやらヤマガラやらを撮っていると、ルリビがいると勘違いして、あるいはルリビがこちらに寄ってきて、カメラマンがぞろぞろ集まってきてアオジなどを散らしてしまう。大変迷惑である。

 

ルリビタキのポイントでマナーの悪いカメラマンにあった話

クリスマスルリビタキ - コミュ障カラスの生き物ブログ

 

とはいえ自分がそういうブログを利用して鳥見をしてきたことも事実である。自分も無関係ではないことを胸に刻んでおくべきだろう。それにルールやマナーを守れないような奴らのために何でこちらのやることが制限されなければならないのか、確かに納得は出来ない。しかしそういう人を無くすよりも我々が気を付けるほうが容易だろう「そもそもバカは説明を・・・」というあれである。もちろんルールやマナーをまだ知らないだけで教えれば理解してくれる人達もたくさんいる。そういう人達に教えていくのも忘れてはいけない。気を付けていきたいものである。

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鳥屋の未来が明るくありますように